研究課題
昨年度において、人体を通過した非接触の空中超音波の計測が可能であったことを踏まえ、最終年度となる本年度は、(1)筋活動時と安静時との透過超音波波形の差異に関する比較・検討、および(2)人体追従機能を持つ計測治具に関する試作を行い、それらの評価を行うことにより、非接触環境下における空中超音波装置を用いた体幹筋の活動について計測を行うことを目指した。活動時と安静時における超音波波形の差異に関しては、接触式の超音波装置(反射式)を用いたB-Mode画像により、計測対象者のそれぞれの活動時における脂肪、外腹斜筋、内腹紗筋および腹横筋の厚さを計測し、リファレンスとして使用することにより、透過波形の評価を行った。計測では、昨年度の計測実験において、最も鮮明に超音波波形が計測できることを確認した箇所である、腹部を左右方向から挟みこむように空中超音波装置を設置した状況において、肋骨と骨盤との中心を計測対象とした。計測した透過超音波波形に対し、微分処理、積分処理、周波数解析を行うことで、波形特徴となる振幅値、微分値、区間合計値、PSD値を得た。また、これらの特徴に対し、(A)振幅値は大きい、(B)ピークでは微分値が0となる、(C)ピーク前後の振幅値の合計値は等しい、(D)送信周波数と受信周波数はほぼ等しい、という知識よりファジィルールを構築し、到達波のピーク電圧および到達時間の抽出を行った。安静時と活動時の比較においては、到達時間の減少およびピーク電圧の増加の傾向がみられ、筋活動の計測の可能性が示唆された。計測治具の試作では、リハビリテーションにおける、主に椅子からの立ち上がり動作を想定し、水平・鉛直方向の直動系および回転系を持つ計測システムを作成した。また、マニュアル操作での稼動を確認し、リハビリテーションにおける使用可能性について検討した。
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