研究課題/領域番号 |
26560310
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
川原田 淳 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (80195164)
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研究分担者 |
吉畑 博代 上智大学, 外国語学研究科, 教授 (20280208)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 健康・福祉工学 / バーチャルセラピスト / 無意識生体計測 |
研究実績の概要 |
失語症者等の言語能力の回復のためには、集中的訓練に加えて長期訓練が必須である。しかし、近年の医療事情により回復途中でありながらも早期に言語訓練が終了になることが多い。このため、失語症者が在宅において単独でも実施可能なバーチャル言語訓練システムが有用となる。これは、コンピュータの仮想空間内に出現したバーチャルセラピスト(V-ST)が、言語訓練におけるセラピスト(ST)役を務めるもので、クライエント(CL)が時間や場所の制限を受けずに自分のペースで繰り返しかつ集中的に訓練を実現できる。 本研究では、V-STにおける新たな提案としてバーチャル訓練時のCLの心身状態を無意識生体計測から得る生体情報によって客観的に把握し、通常の訓練においてSTが大切しているCLへの配慮や気遣いを再現できるかどうかについて検討した。 今年度は、次年度の実施計画である心拍変動解析を利用した心身状態の把握についての検討を先行して行った。作業遂行の主観的経験を測定するための評価法であるCOPM(カナダ作業遂行測定)実施時において、CLに対し通常の四肢誘導(Ⅱ誘導)による心電図計測から得た心拍変動解析結果(HRV)を安静時とCOPM時で比較したところ、COPM時における高い精神的緊張が示され、CLの心身状態を評価する指標となる可能性が示された。この点については未解決な課題もいくつか残されているが、HRVデータによりV-STの動作や動きを制御する方法や装置の開発をするにあたり、貴重な基礎データとして利用できる可能性が示された。特に、CLが訓練中に過度の緊張に曝されるのは決して望ましいことではなく、これを回避するためにも本法を用いてCLの緊張度を測定することは非常に有効であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度は、当初、在宅バーチャル言語訓練システムの構築を行う予定であったが、システムの核となる仮想空間内のバーチャルセラピストを実現するためのPCアプリケーション試作に関し、専門知識を有するプログラム開発のパートナーを確保することができなかった。このため、在宅バーチャル言語訓練システムの試作に関し、大幅な研究計画の遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は3年間の研究実施期間を計画しており、平成27年度はその中間期にあたるが、初年度における研究計画の遅延を取り戻し、最終年度につなげるように努めたい。 その対応策としては、初年度の研究計画の遅延の原因である在宅バーチャル言語訓練システムが未完成であることに対して対処するため、システムの試作の一部について、PCプログラムの開発業者に外注依頼することも視野に入れ、早急に在宅バーチャル言語訓練システムのプロトタイプを完成させることを目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、在宅バーチャル言語訓練システムの構築を行う予定であったが、システムの核となる仮想空間内のバーチャルセラピストを実現するためのPCアプリケーションの試作に関し、プログラム開発業者の選定ができず、外注にかかる費用が未執行となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度の研究計画の遅延を取り戻すため、在宅バーチャル言語訓練システムやその中心部分であるバーチャルセラピストを実現するため、PCアプリケーションの試作を依頼するプログラム開発業者への外注費用等を加えて計上することを計画している。
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