研究課題/領域番号 |
26560320
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中川 誠司 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 上級主任研究員 (70357614)
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研究分担者 |
籠宮 隆之 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究情報資料センター, 特任助教 (10528269)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 健康・福祉工学 / 難聴者福祉 / 発話訓練 / 骨伝導 / 超音波 / 脳磁界計測 |
研究実績の概要 |
申請者らは最重度難聴者にも利用可能な新型補聴器(骨導超音波補聴器)の開発に取り組んできた.一方,難聴のために自己の発話の聴取(聴覚フィードバック)が困難になると,明瞭かつ流暢な発話の維持や獲得もできなくなる.本提案では最重度難聴者にも有効な聴覚フィードバックを与えることができる骨導超音波補聴器とタブレット情報端末を組み合わせることで,最重度難聴児のための発話訓練装置を開発する.また,重度難聴者を対象とした発話訓練を実施し,発話運動と聴覚入力の相互メカニズムや,発話訓練装置のさらなる改善についての知見の獲得を図る.2014年度は以下のような研究に取り組んだ. 1. 骨導超音波補聴器をタブレット端末で発話訓練装置を構成 申請者らが試作した骨導超音波補聴器とタブレット端末を無線接続し,発話訓練装置を構築した.使用者はタブレット端末からの音声出力と,骨導超音波補聴器のマイクロホン入力が同時に聴取できるようにした. 2. タブレット端末上に発話訓練プログラムを構築 以下の機能を有する発話訓練プログラム,聴取訓練プログラムを発話訓練装置に実装した.(1)表示された文字(日本語単音節とおよび単語)に対応する(手本となる)音声を呈示する機能,(2)非訓練者自身の発話を録音して,手本となる正常発話と比較できる機能,(3)呈示される音声と同時に補助的視覚情報(発話者自身および正常発話者の発声時の口元の動画)を表示する機能,(4)クイズ形式で聴取訓練を行う機能を構築する.単音節や単語をランダムに呈示し,難聴児に知覚された音声を回答させる機能
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初計画通りに遂行できた.
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今後の研究の推進方策 |
開発した発話訓練装置を用いて,以下の研究に取り組む. 1. 主として重度難聴児を対象とした発話訓練の実施と発話改善度の評価 重度難聴児に発話訓練装置を貸与し,一定量の発話訓練を継続的に実施させる.訓練効果を定期的に評価し,明瞭性や流暢性の変化を観察する.その際,聴覚フィードバックのない従来の発話訓練方法との比較を行い,提案手法の有効性を評価する. 2. 発話時脳活動の評価 一部被験者については,定期的に脳磁界計測を行い,発話訓練の進行に伴う発話時の脳活動の変化を観察する.発話成績の改善に伴って変化する脳活動を見い出し,発話運動の獲得と聴覚入力の相互メカニズムについて新たな知見の獲得を図る.また,得られた知見から,発話訓練手法の改良について新たな知見を得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
発話訓練装置の試作のためにタブレット端末を購入予定であったが,所属機関の内部資金で調達可能であった.
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度未使用額を研究補助員雇用費に充当し,重度難聴児を対象とした評価試験,脳機能評価計測をより大規模に行うことで,より高度な成果の獲得につなげる.
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