研究実績の概要 |
本研究の目的は,拡大読書器の仕組みや機能を根本から見直すことによって,ロービジョン者(高齢者含む)向け視覚補助装置に,革新的な進歩をもたらす新技術の研究である.本研究が着目したのは,拡大された書字画面を見ながら,利用者が紙に文字を書くことが困難である,というような拡大読書器の機能や利用法に関する課題である.また据え置き型の拡大読書器は,利用場所が限定されるなどの問題もあり,拡大読書器の形態や構造の見直しも視野に入れている.こうした諸問題を解決する方法を模索し,拡大読書器の構造・形態・機能・利用法などについて,研究成果に基づく新たな提言を目指している. 昨年実施した調査により,撮像方式および色覚特性を反映した画像提示に課題があることが分かった.本年度の研究成果であるが,撮像方式については,カメラから取得したスペクトル分光情報を取捨選択することによって,ハイパースペクトル情報に基づく精緻な撮像方式を実現できると考え,このアイディアに基づく新たな撮像方式を考案し,当該方式に基づく装置の試作を進めている.一方,もう一つの課題である色覚特性を反映した画像提示について,カラーパレットを用いた限定色提示について幾つかの手法を比較検討し,その結果を国際会議(Proceedings掲載, 2報)およぼ国内学会(学会誌掲載, 1報),他において報告した.
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