研究課題/領域番号 |
26560327
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
竹内 成生 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (10329162)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経頭蓋刺激 / 事象関連電位 / 網膜電位 |
研究実績の概要 |
本研究は人間の高次行動に関し,『予測-遂行-評価』の機能連携という視座から検討することを特徴としている.これまで,各段階に対応する事象関連脳電位としてSPN,ERN,fERNを取り上げ,TMSとの同時計測による検討を実施・報告をおこなった(Takeuchi et al. 2010 (ICCN),竹内ら2013(日本臨床神経生理学会)).本研究では機能連携に影響を与える変数として刺激入力-知覚段階を捉え,健常者と抑うつ状態にある被験者を1. ERG,2. TMS-EEG,3. ERPを指標とした差異検討を掲げている. 平成26年度は実施計画に従って,倫理申請と被験者スクリーニングをおこなった.本研究の第1実験であるERG実験の報告として,スクリーニングには自己抑うつ尺度(self-depression scale; SDS)を用いた.スクリーニング対象者は大学生とし,スクリーニングの総回答数は196件であった.このうち,回答の不備や重複者等を除外した有効回答数は181件(ERG実験参加希望者:49名,非参加希望者:132名)であった.スクリーニングの結果,SDS平均点は40.7(±7.6)であった.また,実験参加への可否による群間差を検討したところ,両群間に差異は認められなかった(t(179)=0.36, n.s.). 当初,平成26年度は第1実験を開始する予定であったが,より広範な対象をスクリーニングすることを優先した.この結果,実験参加希望者と非参加希望者との間に群間差の無い対象者を募ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は倫理申請,被験者スクリーニングを実施後,速やかにERG実験を開始する予定であった.倫理申請後におこなったスクリーニングにおいて,実験参加望群と非参加群のSDS得点に差異が認められたため,規模を拡大してスクリーニングを複数回実施した.この結果,有効回答数は181件(ERG実験参加希望者:49名,非参加希望者:132名)にのぼり,両群間での差異は認められず,ERG実験での対象被験者に関する妥当性を得ることができた.また,本研究に先立って実施されたTMS-EEG実験では,健常者において知覚段階における影響が示された.したがって,実験計画当初ではERG実験を開始する予定であったものの,概ね順調であるといえる.しかしながら研究目的達成のためには,平成27年度は早期にERG実験を開始し,続く検討の準備を進めることが重要である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度のスクリーニング結果を受け,平成27年度は実験参加希望者を対象として早期に実験1のERG実験を実施することとする.その結果を受け,平成27-28年度に予定している第2実験のTMS-EEG実験,第3実験のERP実験を実施する.特に第2-第3実験では実験制御においてリアルタイム性が要求されるため,実験1のERG実験と並行して,準備と予備検討をすすめることとする.これら検討を進めるにあたって,申請時に示した研究体制に基づいて該当分野の研究者と随時議論のうえ,研究を推進していくものとする.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度はスクリーニングの対象範囲を広げたため,スクリーニングに続く実験に要する設備機器の購入は,必要最小限の範囲に止めた.また,被験者謝金が発生していないために次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に購入を予定していたソフトウェア,制御関連機器等の選定と購入をおこなう.また,被験者謝金を計上する.これ以外については平成27年度の当初計画とおりとする.
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