研究実績の概要 |
本研究では『予測-遂行-評価』の機能連携を解明するために刺激入力-知覚段階を機能連携に影響を与える変数として捉え,健常者と抑うつ状態にある被験者を対象に1. ERG,2. TMS-EEG,3. ERPを指標とした差異検討を掲げた.これまでの検討では,事前に実施したスクリーニングから抽出した19名を対象にPattern reversal ERG検討を実施し,右眼条件のERP周波数成分(11-12Hz,23HzのRMS値)と自己評価式抑うつ尺度(SDS)との間に有意な相関関係を報告した. 本年度はTMS-EEGの検討を予定していたが,Croarkin et al. (2014), Lewis at al(2016) に参考とすべき知見が得られていることから,ERGによる精査ならびに,ERPによる検討を優先し,以下の2実験を実施した. ERG・ERP両実験は感覚刺激入力と知覚との差異を検討することを目的として,同一実験内の2課題として遂行した.尚,対象は健常な男子大学生17名とした. ERG検討は昨年度のプロトコルに基づき設定,コントラスト条件はMichelsonコントラスト比の差異による5条件とした.解析対象としたERG指標はコントラスト条件ごとのFFT処理によって得られた刺激に同期した周波数とその同相成分のRMS値(μV)を線形回帰した傾き(ERG-slope)とした.心理指標は実験開始直前に実施したSDS・BDIを用いた. ERP検討はStair Case法を用いた主観的コントラスト判断を要するFlanker課題とし,各被験者はコントラスト判断の正誤に関するフィードバックを受けた.検討対象のERP成分はエラー関連電位とした.
|