筋電計と市販のゲーム入力装置であるKinectを用いて、剣道の面打ち動作時の運動の同時計測をおこなった。Kinect ver. 2 は、3次元の位置センサーとしてみると、Kinect ver. 1 より格段に計測精度が向上している。それゆえ、位置センサーとしての可能性に注目し、ゲームの入力装置としての使用のみならず、モーションキャプチャーとしての開発が試みられている。一般に運動解析に用いられている専用のモーションキャプチャー装置は、数千万円の費用が必要である。それと比較して、本試みは、市販のゲーム入力装置を使用しているので、身近な電気店やインターネットを介しての入手可能であり、また安価であるので、小中学校および高等学校の体育授業への導入が可能であるという利点がある。 本研究では、中学校における武道必修化にともなって生じた武道を教えることができる体育教員の不足を解消するために、武道の中で剣道に注目し、教育支援システムの構築を目指している。そのための基礎研究として、定量的なデータ収集を行うため、剣道における身体運動計測に、Kinect ver. 2 を用い、同時に多チャンネルの筋電計測おこなった。一般的に、初心者の場合は無駄な力が入ってしまう。それゆえ、伝統的な剣道の指導において、無駄な力を入れない「脱力」が強調される。面打ち動作中の多チャンネルの筋電計測により、脱力を定量化した。そして、Kinectをもちいたモーションキャプチャー及び多チャンネル筋電計測により、熟練者と非熟練者の違いを定量的に明らかにした。
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