研究課題/領域番号 |
26560332
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岩田 靖 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60213295)
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研究分担者 |
藤田 育郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (90608027)
平野 吉直 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (40293534)
結城 匡啓 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90302398)
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
安達 仁美 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30506712)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教師教育 / 教員養成 / 教育実習 / 保健体育科教育 / わざ言語 / 指導ことば / スポーツ指導者 / コツ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「わざ言語」を活用しながら,学び続ける専門職としての体育・スポーツ指導者を養成するカリキュラムの開発である。2年度めである平成27年度は,次の研究を実施した。 1.日本や諸外国における教員・指導者養成に関する文献・資料の収集を継続した。そして,「わざ言語」や「指導ことば」に着目して,体育科教員及びスポーツ指導者養成に関連する記述がある箇所の抽出を継続して行った。 2.「指導ことば」を用いることが可能な教科指導の力量形成を意図する教員養成カリキュラムの開発に向けた基礎的研究として,教員養成段階の保健体育専攻学生が考え得る「指導ことば」の特徴を明らかにした。模擬授業において,運動技能に改善が必要であると思われる受講生が活動している場面を中心として抽出した「言葉かけチャレンジ映像」を視聴させ,運動技能の向上を促すオリジナルの言葉かけを考案させることを課題とし,時間的経過に伴う言葉かけの変容と運動領域別にみた言葉かけの特徴について考察を行った。 3.中学校保健体育科の器械運動領域・マット運動において,演技中の頭・腰・足の位置や動く早さに着目し,課題となる技の動きに応じて,技を行うための「コツ」を使ってアドバイスをし合いながら演習する活動を位置づけた授業を実践した。動きを修正するために必要な「コツ」を付箋紙に記入して「『コツ』こつシート」に貼付し,それを使ってアドバイスし合いながら練習を行う活動を位置づけた。その結果,ある生徒は,「『コツ』こつシート」に貼付された友の「コツ」を使いながら練習を行うことで,開脚前転で起き上がる自らの「コツ」を見つけることができたことから,動作の行い方を理解し,自己の体の動きを感じる力を高め,回転スピードを上げて膝を伸ばした開脚前転を行うことに有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度めである平成27年度は,教員養成段階の保健体育専攻学生が考え得る「指導ことば」の特徴を明らかにすることができた。その結果,「指導ことば」を用いることが可能な教科指導の力量形成を意図する教員養成カリキュラムの開発に向けた基礎的研究となった。この研究成果について,『信州大学教育学部研究論集』に研究報告として掲載することができた。 また,「わざ言語」や「指導ことば」を用いた指導を行う前段階として,子どもが「コツ」を共有する授業実践を行った。この研究成果について,信州大学教育学部附属長野中学校の研究紀要にまとめる指導を行った。 このように,研究目的の達成に向けて研究および実践を蓄積してきていることから,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成28年度は,2ヶ年度の研究調査および授業実践を踏まえて,教員養成課程でどのような指導をすると「わざ言語」や「指導ことば」を適切に用いることができるかを明らかにしていく。また,国内外の関連学会に参加し,情報収集やそれまでの研究成果発表を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも旅費および人件費・謝金の支出が少なかったため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,平成28年度請求額と合わせて,主に国内旅費とその他(学会参加費)および人件費・謝金(資料整理)に用いる。 具体的には,これまでの研究成果を随時発表し,国内外の研究者と情報交換・学術交流するために,国内旅費を用いる。学会参加費として,その他(学会参加費)を支出する。 また,教員養成およびスポーツ指導者養成に関連する文献・資料を収集し,それらの資料の整理時には,研究協力者(大学院生)に依頼して,人件費・謝金(資料整理)を支出する。
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