研究課題/領域番号 |
26560333
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂下 玲子 熊本大学, 教育学部, 教授 (20178552)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 運動遊び / 幼児 / 樹上遊び |
研究実績の概要 |
本研究は、安田(2013)の提唱する「樹上遊び」に着目したものである。安田(2013)は、人類の進化の過程と幼児の運動遊びの発達を関連付け、人類は進化の過程において、樹上生活で横体から直立に進み、原野活動で直立二足歩行を完成したことから、「樹上遊び・原野遊び」を重視している。「樹上遊び」は具体的には、雲梯・鉄棒・総合遊具などで、「握って身体を支える」「上り下りる」「ぶら下がって身体を振る」などの動きがみられるが、それらはその後の運動やスポーツ活動の基礎となる技能である。これまであまり取り上げられてこなかったこれらの動きの発生と発達過程を、遊具・仲間・保育者との関わりから明らかにすることを目的としている。 本年度は、樹上遊びを取り入れている認定子ども園の保育士と協力し、チェックリストを用いて平成28年度の5歳児18名と成27年度の5歳児22名の各年齢における1)鉄棒遊びと2)雲梯遊びで観察された動きの習得状況について検討した。対象園では、それぞれの年齢に応じた大きさの鉄棒・雲梯が用意されている。 1)鉄棒遊びにおいて、鉄棒にぶら下がる動作は2歳未満では45%、2歳で73%と急増し、3歳以上では90%を超えている。脚でぶら下がる動作は、3歳で88%、4歳で93%、5歳で88%の子どもに見られ、コウモリは2歳で23%、3歳で38%、4歳で88%、5歳で95%に見ることができ、4歳から多くの子どもの習得が見られた。 2)雲梯遊びにおいて、雲梯にぶら下がる動作は2歳未満では30%、2歳で73%と急増し、3歳以上では90%を超えている。雲梯の横渡りは、2歳で45%、3歳で83%、4歳で95%、5歳で98%の子どもに見られ、雲梯を渡る運動は、2歳で13%、3歳で80%と急増し、4歳で93%、5歳で95%の子どもに見ることができ、年齢による動きの習得状況を把握することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年4月に発生した熊本地震により、その対応に時間が取られたため、本年度計画していた運動遊びの観察を計画通り進めることができなかった。そのため、観察およびインタビューによるデータの分析が遅れている。また、これまでの研究結果の考察にかける時間を十分にとることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
運動遊びの観察やインタビューによるデータの分析を早急に進める。さらに、これまでの研究結果について、遊具・仲間・保育者との関わりの観点から総合的に考察を行う。得られた知見を論文等で発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
幼児の運動遊びの環境デザイン構築のための海外における情報収集のために、平成28年5月にフィンランドで開催された芸術工学会への参加を予定していたが、4月に発生した熊本地震により、兼務している附属特別支援学校の被害対応、また児童生徒の対応のため参加することができなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。また、地震による対応にかなりの時間が取られたため、本年度計画していた運動遊びの観察を計画通り進めることができず、観察およびインタビューによるデータ分析のための人件費、旅費の使用を十分に行うことができなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は、これまでの観察やインタビューにより得られた結果についての総合的考察を行う。未整理のデータの分析のための人件費、および追加データが必要な際の旅費・データ分析のための人件費に用いる。また、国内外の学会参加費、論文の投稿費に用いる。
|