本研究は,動物モデルを対象とした運動負荷が骨格筋,神経伝達物質,情動に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.本研究の成果として,自発的な運動を促す豊かな環境飼育下では,前頸骨筋の筋量が増加するだけでなく,血液中のノルアドレナリン濃度が向上し,不安感情様が低下する可能性が示唆された.運動による骨格筋の動員パターンと情動の関係性を明確にするエビデンスは得られなかった.一方で,自発的な運動負荷による情動の安定は,骨格筋の筋量に由来する可能性が示されたことから,今後の運動によるメンタルヘルス向上の機序を解明する糸口に繋がることが期待できる.
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