研究課題/領域番号 |
26560339
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
外山 茂浩 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (60342507)
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研究分担者 |
池田 富士雄 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30353337)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スポーツ科学 / 運動指導 / ヒューマノイドロボット / セルフコーチング |
研究実績の概要 |
本研究は,モーションキャプチャシステムで取得した動作データを基にヒューマノイドロボットで動作を再現させてセルフコーチングを行う,新しいトレーニング支援方法を提案する. その基礎技術の確立を目的として,まずは被験者のアンダーハンドパスのキャプチャデータを用いて,ヒューマノイドロボットによる動作の再現を試みた.動作の再現はバレーボールのアンダーハンドパスを対象とし,順運動学,逆運動学に基づく2種類の方法に対して再現度を評価及び検討をした.その結果,逆運動学に基づく再現方法は安定性が高く,全体に評価が高い傾向にあったが,特に初心者を対象とした上半身の再現に限ると順運動学に基づく方法の方が高評価の傾向にあった.これは,関節角度に着目した動作再現を行う順運動学の方が,初心者の肘の曲げを精度良く再現していたためであると考えられる. 次に,セルフコーチング用インタフェースプログラムの開発を行った.セルフコーチング用インタフェースプログラムは,ヒューマノイドロボットの関節モータのトルクのON,OFFを用いて手取り足取り修正を行えるアルゴリズムを考案し実装した.また,修正前後の動作の繋がりを自然にするために修正前のデータに直線補完を施し,修正後は修正量分のオフセットを加えることとした.そして,バレーボールのアンダーハンドパスを対象に,クライアントのスキル改善の程度からセルフコーチングの有効性を検証した.その結果,面の向き,腕の振りなどでスキルの改善が大きく見られ,セルフコーチングの基本的な有効性が確認できた.しかし,アンダーハンドパスで重要な要素の一つである重心移動速度では改善が見受けられなかった.その理由として,重心移動速度は一連の動作による再現・修正が必要となるが,今回開発したプログラムでは一瞬を切り出しての動作の修正となるため,一連の動作による修正ができていないことが一因と考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は次の3点を挙げていた.(1)ヒューマノイドロボットの動作を明示する工夫を施す.(2)現有設備のモーションキャプチャシステムで規範選手の動作データを取得する.(3)取得動作データ,ロボット指令データ間のインタフェースプログラムを設計・製作する. (1)については,種々のヒューマノイドロボットを検討した結果,大きな改良を加えることなく動作の明示が可能な機種(DARwIn-OP)を購入した.(2),(3)については,研究実績の概要でも述べたように,計画通りアルゴリズム,プログラムの開発が進み,問題点の洗い出しと改善の方向性を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
キャプチャデータを用いたヒューマノイドロボットによる動作再現では,関節角度の再現精度の改善を狙って,順運動学と逆運動学のハイブリッド・アルゴリズムの構築を試みる.身体の部位によってアルゴリズムを使い分けるなどの工夫を施し,再現性の向上を狙う. また,セルフコーチング用インタフェースプログラムは,一連の動作に対する修正をクライアントが容易にイメージできるような工夫を施す.
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