研究課題/領域番号 |
26560341
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅井 武 筑波大学, 体育系, 教授 (00167868)
|
研究分担者 |
小池 関也 筑波大学, 体育系, 准教授 (50272670)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | CFD / 風洞 / 流体 / 空力 / ボール / サッカー / スキー / ボルツマン |
研究実績の概要 |
平成27年度は,昨年度の研究を基盤に,格子ボルツマン法を用いた数値流体解析を用いて,滑降ダウンヒルレーサーのクラウチング姿勢における速度と全抗力の関係を示した.さらに,レーサー周りの流れを可視化し,その渦構造を検討すると共に,レーサー各パーツの抗力分布を明らかにした.格子ボルツマン法によるダウンヒルレーサーの全抗力は、流速15 m/s時が27.0 N,20 m/sが46.2 N,25 m/sが74.3 N,30 m/sが107.6 N,35 m/sが144.7 N,40 m/sが185.8 Nとなっていた.Brownlie et al. は,実際のレーサーのクラウチング姿勢を対象とした風洞実験において,27.8 m/s で88.8 Nの全抗力を示した事を報告している.本CFD解析の,風速27.8 m/sにおける,2次元多項式を用いた抗力推定値は,91.9 Nとなっており,実験値と近い値を示していた.これらのことから,本研究におけるCFDの結果は,ほぼ妥当な数値解析が行われていたと判断された.流速40 m/sにおけるダウンヒルレーサーモデルの矢状面上の流速分布では, 頭部,手部,臀部の後方に低速領域が観察された.同様に,左足部とクロスする矢状面上の流速分布では,上腕部,下腿部,臀部の後方に低速領域が観察された.また,ダウンヒルレーサーの表面速度分布では,頭部,上腕部,下腿部,臀部の後方に低速領域が観察された.これらの流れ場の観察により,流速40 m/sにおけるダウンヒルレーサーモデルの大きなドラッグの,主な発生部位は、頭部,上腕部,下腿部,大腿部(含む臀部)であると考えられた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VLESの計算技術をフルスケールの人体に適用し,妥当な全抗力が推定できることが確認された.また,それらの解析により,流速40 m/sにおけるダウンヒルレーサーモデルの大きな空気抵抗の主な発生部位は、頭部,上腕部,下腿部,大腿部(含む臀部)であるこが示された.平成27年度の研究及び解析データにより,フルスケールの人体周りでも,ある程度の精度で空力特性が計算できることが明らかになったため.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,境界層の解像度を上げた,高密度化境界層LES解析モデルを開発する.その高密度化境界層モデルを活用し,スポーツボール周りの流れ場を計算,解析し,ニアウェイクの渦構造を検討する.そして,ニアウェイクにおける境界層の動態や抗力,揚力の非定常変化を解析し,その空力特性を検討する.さらに,高密度化境界層モデルを人体に適用し,スポーツ技術のパフォーマンス向上の可能性について検討する.また,最終年度として,得られた研究成果を論文化ならびに国際スポーツ工学会議等での報告,発表を行う予定である.
|