エースとミスが隣り合わせになっている多くの運動課題は、狙うべき目標位置が予め決定しているものとは大きく異なり、どの位置を目標として選択するかという意思決定がパフォーマンスにとって重要な意味をもつ。そこで本研究では、このような状況を模した運動課題を新たに開発し、リスク下でのヒトの運動意思決定過程についてベイズ統計モデルを用いて検討した。その結果、ハイリスク・ハイリターン型の得点関数を有する課題においては目標設定のバイアスによって期待得点が低下し、学習の進行も遅れることが明らかになった。加えて、経頭蓋磁気刺激を用いた実験により、リスク志向性に対する背外側部前頭前皮質の関与が示唆された。
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