研究課題/領域番号 |
26560348
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
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研究分担者 |
鈴木 康弘 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (00392697)
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
星川 雅子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (60284923)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 呼吸筋 / 表面筋電図 / 組織酸素飽和度 / 過換気 |
研究実績の概要 |
本年度の目的は,低酸素環境を利用した呼吸筋トレーニングプログラム作成のための基礎データを収集することであった. 目的:低酸素環境が吸息筋活動および筋酸素飽和度に及ぼす影響を明らかにする. 方法:8名の健康な男性が本研究に参加した.安静状態にて,随意過換気(1回換気量:肺活量の30-40%,呼吸数:60回/分)を常酸素(吸入酸素濃度:21%)および低酸素(吸入酸素濃度:10-12%,動脈血酸素飽和度:81.7%)環境で10分実施した.吸息筋である胸鎖乳突筋および外肋間筋から,表面筋電図および近赤外分光装置を用いた組織酸素飽和度を連続的に記録した.呼気終末二酸化炭素分圧を一定に保つよう,吸入炭酸ガス濃度を調整した.随意過換気による表面筋電図および組織酸素飽和度の変化の再現性を確認するため,3名の被験者において常酸素ガス吸入における測定を2度実施した.異なる日の測定に対する変動係数は,組織酸素飽和度では7.8%,表面筋電図では16.3%であった. 結果:随意過換気中の筋酸素飽和度は,低酸素試行で有意な低値を示した(胸鎖乳突筋,低酸素:56.5%,常酸素:65.0%).10分間の過換気により,吸息筋からの表面筋電図の漸増が認められ,その増加の程度が低酸素ガス吸入で大きかった(胸鎖乳突筋,低酸素:+83.6%,常酸素:+47.9%). 結論:これらの結果から,低酸素環境では呼吸筋においてその活動が大きくなることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は,呼吸筋トレーニングプログラム作成のための基礎データを収集することであった.四肢の骨格筋で認められるように,呼吸筋においても低酸素環境ではその活動が大きくなることを確認することができた.
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今後の研究の推進方策 |
低酸素環境では呼吸筋の活動が大きくなることが確認できた.次のステップとして,常酸素環境にて早く深い呼吸を行うための呼吸筋トレーニング装置の作成に取りかかる.動脈血中の二酸化炭素分圧を一定に保てるよう,半自動で吸気に炭酸ガスを吸入できるシステムを開発する.さらに,低酸素環境での呼吸筋トレーニングの実施のため,過換気中に動脈血酸素飽和度の値を一定に維持できるよう,吸気への窒素ガス吸入システムを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
呼吸筋トレーニングデバイス作成および予備実験を実施する予定であったが,炭酸ガス分圧および動脈血酸素飽和度を調節するための装置作成に時間を要した.27年度に継続して実施するため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
呼吸筋トレーニングを実施する際に必要な炭酸ガス分圧および動脈血酸素飽和度の調節のため,パルスオキシメータを購入し,新たなデバイスを作成する.この装置を用いて呼吸筋トレーニングの予備実験を行う.
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