研究課題
加齢に伴う筋機能の低下は、筋量低下よりも大きいことが知られており、筋機能低下の要因を明らかにすることは、適切な予防・改善法を探求するうえで重要である。単位筋量あたりの発揮筋力を固有筋力というが、加齢に伴う固有筋力の低下には、神経系要因以外にも速筋線維の選択的萎縮や骨格筋内の脂肪、結合組織、細胞外液量の増加といった質的な変化が関連している。その他に、動物の摘出筋を用いた研究では、老化に伴って筋細胞膜の電気特性が変化する可能性が指摘されている。筋細胞膜はリン脂質二重層から構成されており、電気回路上特徴的な性質を持つ。申請者はこれまで、生体電気インピーダンス分光(BIS)法を用いて骨格筋の量と質を明らかにする研究を行ってきた(JGMS 2010; JAP 2013; JAP 2014; アメリカ老年学会65 周年記念論文賞受賞)。本研究では、生体内のレジスタンスとリアクタンスを計測することで、細胞膜の電気特性を評価できることがわかってきた。本研究では、BIS 法を用いて18-96 歳までの200 名のBISと筋の性質を評価することで、骨格筋細胞膜の電気特性の生体内非侵襲的測定による新しい筋機能評価法の確立を行った。その結果、骨格筋細胞膜の電気特性の生体内非侵襲的測定が筋の性質を反映していることが明らかになり、従来の生体電気インピーダンス法よりも有用な評価方法であることが明らかになった。この成果は、2015年および2016年のAmerican Society for Bone and Mineral Researchにて学会発表を行い、現在論文を投稿中である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
Ultrasound in Medicine and Biology
巻: 41 ページ: 3013-3017
doi: 10.1016/j.ultrasmedbio.2015.06.017.
Archives of Gerontology and Geriatrics
巻: 61 ページ: 197-201
doi: 10.1016/j.archger.2015.05.010.