研究課題/領域番号 |
26560368
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
十枝内 厚次 宮崎大学, 医学部, 講師 (80381101)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 筋収縮 / 衛星細胞 / 後根神経 / 肝臓 / 糖代謝 / 感覚情報伝達 |
研究実績の概要 |
本年度は、座骨神経の電気刺激技術の確立、骨格筋衛星細胞単離および培養技術の確立、後根神経細胞の培養技術の確立を実施した。骨格筋の電気刺激パターンと座骨神経の電気刺激による後根神経節遺伝子発現の相違を検証するため、遺伝子抽出を終了した。現在、骨格筋収縮時と座骨神経刺激時の後根神経節における遺伝子発現の相違をマイクロアレイ解析するための準備を行っている。またこの時の肝臓、脳、反対足の骨格筋サンプルを取得済みであり、骨格筋の運動に最も近い条件で座骨神経を刺激したとサンプルについて、肝臓の糖新生関連酵素であるPEPCKの蛋白発現、視床下部のエネルギー代謝調節関連のCRFとオレキシンの遺伝子発現を解析する予定である。また確定した座骨神経刺激を用いて、2デオキシグルコース投与後の座骨神経刺激足と非刺激足における骨格筋の有機的代謝の指標であるクエン酸酵素活性と、2デオキシグルコース取り込みの相違を測定し、骨格筋の感覚情報伝達の意義を明らかにする予定である。運動時の骨格筋からの情報を明らかにするために、マウス骨格筋からの衛星細胞単離と骨格筋への分化技術を確立した。今後、後根神経細胞と骨格筋の相互連関を検証するための、後根神経細胞の初代培養技術も確立した。次年度の研究遂行に必要な技術は、全て確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり本実験に向けての技術確立が終了した。本年度中に実施予定であったマイクロアレイ解析の一部は、申請者の所属先が変更が決定したため、次年度に移行した。
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋収縮と中枢のエネルギー代謝調節変化に関する研究では、マウス視床にマイ クロダイアリシスプローブを挿入し、座骨神経電気刺激に対して分泌が変化する視床内の神経伝達物質を同定する。さらにその神経伝達物質に蛍光色素を結合させた物質を視床内に投与し、視 床入力後の脳神経回路を明らかにし、遠心性の自律神経調節機序の基礎的情報を獲得する。 遠心性刺激による糖代謝および脂質代謝の解析では、マウス筋収縮刺激後の肝臓でのグリコーゲン分解酵素活性、脂肪での脂肪分解酵素活性を測定する。また褐色脂肪組織では、熱産生を担うUCP蛋白の発現変化を解析する。 後根神経節神経細胞の活性変化に関する研究では、感覚神経を電気的に刺激した後、下肢骨格筋からの感覚求心神経細胞が集積している腰椎4番から6番の後根神経節を採取する。DNA マイクロアレイによって、遺伝子発現 を検証し、本研究の成果の分子メカニズム解明に向けた、物質変化を検証する。 トレーニングによる電気活動刺激応答性の変化の検証においては、マウスにトレッドミルトレーニングを3ヶ月間実施し、感覚神経の電気刺激による各種臓器の応答性を上記の方法で検証する。また高脂肪食と運動トレーニングを負荷したグループを設定して、栄養と運動の両面から検証する。 これら一連の研究によって、感覚神経を用いた情報伝達機序が新たな研究領域として確立できるか決定できると考える。さらに、本研究は、萌芽研究ではあるが、申請者はその技術的基盤を確立しており、研究を予定通り遂行できる。また本研究の成果に基づいて、次の研究の展開につなげて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロアレイサンプルの一部は取得済みであるが、本年度末に所属施設の移動が確定しており、マイクロアレイサンプルの外注解析が年度をまたぐことから、次年度に解析を延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプルの一部は取得済みであり、差額分は、次年度にマイクロアレイ解析費用として使用する。
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