研究課題
本研究は、骨格筋細胞がアディポネクチンを分泌するか検討すると共に、骨格筋細胞に発現するアディポネクチンの生理学的意義を明らかにすることを目的とし、2年計画で研究を実施された。マウス筋芽細胞由来C2C12細胞を用いて、分化誘導前のC2C12筋芽細胞のアディポネクチンあるいはアディポネクチン受容体1(AdipoR1)をそれぞれ単独で、あるいはアディポネクチンおよびAdipoR1を同時にRNA干渉法(siRNA導入)によりノックダウンした。siRNA処理を24時間行った後、C2C12筋芽細胞を筋管細胞へ分化誘導し、分化の様相を経時的に観察した。アディポネクチン単独ノックダウンにより、分化に伴う筋管形成ならびに筋タンパク増加が抑制された。AdipoR1単独ノックダウンでも、分化に伴う筋管形成と筋タンパク増加の抑制、およびCK活性の増加が抑制された。さらに、アディポネクチンとAdipoR1の両分子同時ノックダウンを試みたところ、同様に分化の抑制が観察された。以上の結果より、筋芽細胞に発現するアディポネクチンは、筋芽細胞から分泌され自己分泌あるいは傍分泌様に振る舞い、AdipoR1を介して筋管細胞への分化を維持(促進)する作用を持つことが明らかとなった。したがって、これまではアディポネクチンは脂肪細胞で産生され、血液循環を介して標的組織である骨格筋や肝臓に作用すると考えられてきたが、標的組織である骨格筋細胞自身がアディポネクチンを産生・分泌して自己のサイズ(量)を制御することで、糖脂質代謝を調節していることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 9件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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