研究課題/領域番号 |
26560375
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
蒔苗 裕平 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (00706632)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 活性酸素種 / 骨格筋肥大 / レジスタンス運動 / mTORC1 |
研究実績の概要 |
骨格筋量の維持・増加は、スポーツパフォーマンスの向上のみならず、加齢に伴う筋力低下防止や生活習慣病予防に重要である。我々はこれまでに、活性酸素種を除去する作用を有する抗酸化物質を用いた実験により、活性酸素種も骨格筋肥大の一因子である可能性を明らかにしてきた(Makanae et al. 2013)。このことから、活性酸素種を活用することで、骨格筋肥大を増強出来る可能性が考えられた。本研究の目的は、レジスタンス運動時に薬理的に活性酸素種を増加させることで、筋タンパク質の同化作用を亢進し、骨格筋肥大を増強することが出来るか検証することである。 今年度は、レジスタンス運動と活性酸素種投与の併用効果を検討するための予備的実験として、活性酸素種投与そのものが筋タンパク質合成関連シグナル伝達応答に及ぼす効果について検討した。はじめに、C2C12培養筋細胞を用いた実験を行ったが、有益な結果が得られなかった。そこで、動物を用いた実験を行った。11週齢のSprague-Dawley系雄ラットの右後肢腓腹筋に対し、1mMの過酸化水素を筋注射にて投与した。偽薬投与群には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を筋注射にて投与した。その結果、過酸化水素を投与した群では、筋タンパク質合成関連シグナルのリン酸化が、偽薬投与群に比較して有意に亢進した。以上の結果から、活性酸素種の投与により、筋タンパク質合成が亢進する可能性があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、細胞を用いた実験では有益な結果が得られなかったが、動物実験を前倒しして行うことで、活性酸素種そのものが筋タンパク質合成関連シグナル伝達応答に影響を及ぼすことが明らかとなったことから、おおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はレジスタンス運動と活性酸素種投与を組み合せた運動を行い、活性酸素種の増加がレジスタンス運動により引き起こされるタンパク質合成亢進に及ぼす効果について検討する。また、その詳細なメカニズムについても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は細胞実験を予定していたが、動物実験に切り替えたため、物品購入費に差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
主に動物実験及び得られたサンプルの解析に必要な物品購入費として使用する予定である。また、必要に応じて再度細胞実験に取り組むことも考えている。
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