研究課題/領域番号 |
26560376
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水田 健太郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40455796)
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研究分担者 |
正木 英二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40221577)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 短鎖脂肪酸 / FFAR3 |
研究実績の概要 |
1.気管平滑筋における短鎖脂肪酸受容体の蛋白レベルでの発現の同定 Western blot法と免疫組織化学染色により、ヒト気管平滑筋細胞、ヒト気管平滑筋組織における短鎖脂肪酸受容体FFAR3 (GPR41)の発現が確認された。一方、FFAR2 (GPR43)は昨年までの研究でmRNAでの発現は確認されていたものの、蛋白レベルでは発現が認められなかった。 2.短鎖脂肪酸投与時のヒト気管平滑筋細胞におけるcAMP活性の変化の評価 実験1で発現が確認されたFFAR3はGi蛋白受容体に属すが、Gi蛋白受容体を急性刺激(15分以内)するとアデニル酸シクラーゼ活性の低下を介してcAMP産生を減少させるのに対し、持続刺激(1時間以上)すると、cAMP産生が増加するとされる。そこで、短鎖脂肪酸の短期(15分)または持続投与(1時間)によりヒト気管平滑筋細胞におけるcAMP活性が変化するかをELISA法で測定した。その結果、各種短鎖脂肪酸の短期投与ではcAMP産生が減少したのに対し、持続投与ではcAMP産生が増加した。 3.短鎖脂肪酸投与時のヒト気管平滑筋細胞における細胞内Caイオン濃度の変化の評価 Gi蛋白受容体は、急性刺激するとGiβγサブユニットを介してGq蛋白受容体の作用を増強するとされる。そこで、アセチルコリン刺激により生じる細胞内Caイオン濃度上昇作用が、短鎖脂肪酸投与により増強するかをFluo-4負荷ヒト気管平滑筋細胞にて測定した。その結果、Caイオン濃度上昇作用がプロピオン酸投与により増強した。一方、cAMP産生が増加するとGq蛋白受容体刺激により生じる細胞内Caイオン濃度上昇作用は減弱するとされる。そこで、アセチルコリン刺激により生じる細胞内Caイオン濃度上昇作用が、プロピオン酸持続投与(cAMP産生増加をもたらす)により減弱するかを測定したところ、その作用が有意に減弱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.気管平滑筋における短鎖脂肪酸受容体FFAR3の発現の確認、2.短鎖脂肪酸投与時のヒト気管平滑筋細胞におけるcAMP活性の変化の評価、3.短鎖脂肪酸投与時のヒト気管平滑筋細胞における細胞内Caイオン濃度の変化の評価とも、ほぼ計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、短鎖脂肪酸受容体FFAR3を介した気管平滑筋弛緩機構について、Gi-Gq crosstalk並びにGi蛋白過敏化(sensitization)によるcAMP増加シグナルを介した気管平滑筋弛緩機構に着目してin vivo, in vitroの両面から検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算は試薬・消耗品類を中心とした購入に支弁しほぼ使い切ったが、若干の残余が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
残余経費を含めて次年度に使用する。試薬類の購入に当てる予定である。
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