研究課題/領域番号 |
26560379
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
植竹 照雄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10168619)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 自転車 / 事故防止 / 交通システム / 交差点 / ラウンドアバウト |
研究実績の概要 |
今年度の研究計画として、主に連続血圧計を用い自転車走行中に起こるヒヤリハット時の血圧変化を測定する予定であったが、連続血圧計から得られる信号が想定していた通りの精度でなかったため、以下に示すとおり、研究計画を変更せざるを得ない状況であった。すなわち、これからの日本の交通システムとして注目されているとともに、高齢者を含めすべての交通者にとって安全を確保できるラウンドアバウト導入の可能性について検討するため、ラウンドアバウト導入に向けた効果検証、高齢者の行動動態把握、リスクポイント、など安心・安全を担保するための現実的課題について明らかにすることを目的にとした研究を推進した。 具体的には、模擬的なラウンドアバウトを大学グラウンドに設定し、ドローンを用いそのラウンドアバウトの上空20mの位置から若者が自転車走行する様子を撮影した。また、ラウンドアバウトを導入することによる時間的経済効果を明らかにするために、信号機のある一般交差点での時間経過も測定した。 その結果、1.右折、直進、左折時のいずれの場合においてもラウンドアバウトの方が早く走行できること、2.ラウンドアバウトでは進入する際は右側を、退出する際は左側を注視していること、3.ラウンドアバウトでの衝突は見られなかったこと、4.自転車走行時の安心感はラウンドアバウトの方がはるかに高いこと、が挙げられる。 以上のことから、ラウンドアバウト導入は、交通三者が交錯する現在の交差点で発生するさまざまなリスクや問題を解決するに十分な可能性を有していると考えられる。さらに、信号機がない交差点の導入は、災害時においても交差点の機能を失うことがないことから、緊急時対策としての機能も有するものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画を変更せざるえない状況が発生した主な理由は以下のとおりであり、大きくふたつ挙げられる。一つは、本研究で使用予定の各種測定システム、脳波測定器、連続血圧計、自転車ハンドル回転計はすべてブルーツース無線によるものである。それらはブルーツース規格で作動するものであるが、通信規格は通信距離別に二通りあり、一定ではないことにより、当初想定していた実験プロトコールでは実施できないことが判明した。 もうひとつは、自転車走行中に遭遇するヒヤリハット時における血圧の変化を測定するため連続血圧計を導入したが、実際に測定してみると自転車の振動によりノイズが混入し、正確な値を検出できないことが判明した。 以上のことから、当初の研究計画をこれからの日本の交通システムとして注目されているとともに、高齢者を含めすべての交通者にとって安全を確保できるラウンドアバウト導入の可能性について検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方針を転換し、新しい交通システムとして注目されているラウドアバウト導入の可能性およびその問題点の整理をすることにし、27年度と同様に、新しい交通システムとして注目されているラウンドアバウトの可能性について、若者ではなく、高齢者を対象にした効果の検証を実施するとともに、その課題や問題を明らかにするとともに、ラウンドアバウト導入に向けた今後の方向性についての整理を行う。 具体的には27年度は、若者を中心とした実験を実施したが、その成果をもとに28年度の対象者を高齢者にし、実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由として、学会参加が当初予定していた場所でなく、東京近辺で開催されたため、旅費の支出が大幅に減額されたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究全般を見直し、過不足が生じないよう執行計画をたてる。
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