子どもの疲労回復法を追究するためには、子どもの疲労と最も結び付きが強いとされる睡眠覚醒リズムの是正に資する個々の生活習慣に依存した介入研究を要する。そこで、本挑戦的萌芽研究では、子どもの疲労回復に資するオーダーメード型の生活習慣改善法の開発を目的とした。前年度に実施したアンケート調査から、自覚的な疲労の症状の重症度と平日の睡眠時間が密接に関係し、友人やクラスメイトとのSocial Networking Serviceの利用頻度や家族と過ごす時間が睡眠時間とも関係することがあきらかとなった。各参加被験者と保護者を交えて被験者が希望する生活習慣の改善要素と疲労関連生活習慣として改善すべき要素に関するヒアリングを行い、個別の介入試験を実施した。その結果、平日の睡眠時間を1時間増やすこと、あるいは家族と過ごす時間だけでなく会話の時間を増やすことで、認知課題作業後の疲労感や気分の落込み、Advanced Trail Making Test(ATMT)の課題成績の改善がみられた。睡眠と家族の関わりに関する個別介入により、小中学生の抗疲労とQuality of Life向上効果が得られることを示唆する結果が得られた。
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