研究課題/領域番号 |
26560387
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
橋本 健二 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (10449340)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 笑い / ロボティクス / 心身の健康 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,ロボットによる人間の笑い誘発とその反応である笑いの定量的な測定システムを開発することを目的としている.平成26年度は,下記2点について研究を推進した.
1.笑い測定システムの開発に向けた基礎実験:腹直筋と横隔膜の生理学的変化と動きを計測するため,慣性センサと筋電センサを剣状突起部とへそ部に固定し,さらに肋間筋の活動も計測するために,筋電センサを第8肋間と第9肋間の間に固定し,笑い反応時のデータを計測した.その結果,人間の笑い発生時に身体に取り付けた各センサに特徴的な反応が見られることが分かった.また,マイクロフォン単体の実験において,通常の会話声から笑い声を検出するアルゴリズムを開発した.
2.ロボットによる笑わせ刺激に向けたハードウェア改良:これまでに2足ヒューマノイドロボットKOBIANの全身表現による人間の笑い誘発を確認してきた.しかし,半数以上の被験者の笑いを誘発できたロボットの動きは少数にとどまった.この原因として考えられる問題に,ハードウェアによる動作の制約があった.そこで,人間のお笑い芸人が活発に行っている腕を誇張して速く,大きく動かす動作を取り入れることで,2足ヒューマノイドロボットの全身動作による人間の笑い誘発をより効率的にすることを目標に,高速度・広可動域をもつヒューマノイドロボット腕部を開発した.予備実験から,腕部の高速な動作の有効性が示された.また,動作の大きさも有効性が示唆された.これらを実現するため,2足ヒューマノイドロボットKOBIANに肩付け根の2自由度を追加し,フレキシブルシャフトを用いた腕部の軽量化,ダブルモータ駆動方式を用いた出力の向上を実施した.評価実験の結果,開発したロボットにより実現された高速度・広可動域を伴う動作,その中でも特にロボットの動きの速さが人の笑い誘発に有効であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,笑い測定システムの開発に向けた基礎実験が完了し,笑い誘発に向けた2足ヒューマノイドロボットのハードウェア改良も実施できたため,順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,複数のセンサを統合し,笑い反応の測定精度を高める.また,相手の状態や個性に適した笑わせ動作をロボットが自律的に選択したり,生成したりすることが可能なアルゴリズムを開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画書に計上している各項目の金額に若干の差異が生じたため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は国際会議などで成果を積極的に発表する予定であり,そのために必要な旅費に使用する.
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