研究課題
我々は最近、飢餓時に肝臓が自律神経系(副交換神経系ならびに交感神経系)を介したシグナルを送ることで、肝臓内グリコーゲン枯渇時に体内のエネルギー源をグリコーゲンから脂肪へ切り替えるのを助けていることを発見し、論文発表した(Nature Communications 2013)。この飢餓時の神経シグナルは肝臓内のグリコーゲン量そのものを反映しており、肝臓内のグリコーゲンが枯渇した際に発せられる。そこで本研究では、次の目標として、我々が発見した「肝臓内グリコーゲンセンサー」の分子実体を明らかにすることに挑戦する。具体的には、肝臓内グリコーゲンセンサー分子の同定に向け、DNAマイクロアレイ法などのオミックス解析の手法を用いてグリコーゲンと相互作用する新規分子を探索中である。具体的な探索方法として、これまでの研究の過程で活用してきた、遺伝子改変アデノウイルスを用いて肝臓のグリコーゲン合成酵素またはグリコーゲンホスホリラーゼの発現量を大きく変化させ、肝臓内グリコーゲン量をダイナミックに増減させた際に、肝臓内のグリコーゲン含有量の変化を受けてそれと相関する発現変動を示す遺伝子を探索するためにDNAマイクロアレイ法を用いたスクリーニングを実施した。その結果、発現量が肝臓内のグリコーゲン含有量と正の相関を示し、肝臓内のグリコーゲンセンサーの候補遺伝子の可能性を持つ遺伝子を複数、見出すことができた。
2: おおむね順調に進展している
マイクロアレイ解析などを予定通りに施行できている。
今後、候補分子に対するノックダウンなどの実験により、さらにグリコーゲンセンサー候補分子の絞り込みを行う。
実験の進捗状況により、物品の調達が遅れたため。
可及的すみやかに実験計画を進め、使用予定の物品の調達を行う。
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