生活習慣病と、骨・軟骨組織の病気の関連性が近年、臨床研究において指摘されるようになってきたが、その病態のメカニズムはまだ、十分に解明されていない。本研究課題は、生活習慣病と有意の相関がみられる”Elovl6”遺伝子を欠損したマウスにおいて胎生期の成長板・骨の発達に異常がある、という我々の最近の知見に基づき、その表現型の検討と作用メカニズムの解析を行うことを研究目的とした。平成26年度は、普通食下においてElovl6欠損マウスの胎生期の骨・成長板の各発達段階での表現系を検討した。1) 成長過程のモニター:E15.5からE18.5までの胎児と新生児の成長、Patterningの異常を体重の変化、whole skeletal染色などにより解析した。2) 軟骨細胞の増殖とアポトーシスの評価:骨、軟骨細胞の増殖に関しては、BrdU染色とTUNEL染色でそれぞれ評価した。3) 軟骨細胞の分化の評価。軟骨細胞の肥大の始まるE14.5および、軟骨から骨への置換がほぼ完了する誠直ぼの脛骨の組織票本において、ISHの手法を用いて検討した。4) 破骨細胞の数をTRAP遺伝子の発現と染色で解析した。5) 新生マウスの初代軟骨細胞にてマイクロアレイ解析を行い、Elovl6 の標的遺伝子を検討した。平成27年度は、6) マイクロアレイの解析からElovl6の欠損で最も上昇したのは、CollagenXa1で、この発現上昇の原因としてFoxa2/3 とMef2cの発現上昇を確認し、タンパク質レベルでの解析を開始した。平成28年度は、CollagenXa1の遺伝子発現の上昇が、Foxa2のタンパク質の細胞内分布の変化に加え、Mef2c遺伝子の発現を制御する、HDAC4/5/7のタンパク質の細胞内分布が変化していることに基づくことを解明した。
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