研究課題
視床下部は接触行動をつかさどるとともに、生体内のエネルギー代謝を調節する脳部位として知られている。しかし、視床下部性代謝調節機構に対する運動の影響については不明な点が多い。本研究では、視床下部におけるレプチン感受性に焦点を当て、トレッドミル運動後におけるレプチン感受性の変化とそのメカニズムについて検討した。C57BL/6Jマウスに対して、15m/minで45分間の低強度トレッドミル運動後にレプチン(2mg/kg)を腹腔内投与すると、免疫組織染色法およびウエスタンブロット法により、STAT3のリン酸化を指標とする内側基底部の視床下部レプチン感受性が亢進することを見出した。免疫組織化学染色法により、トレッドミル運動により視床下部オレキシンニューロンが活性化していることが明らかになった。オレキシン受容体阻害薬を脳室内に投与し、トレッドミル運動後のレプチン感受性を調べると、運動によるレプチン感受性亢進作用が焼失した。その発端が骨格筋収縮にあると仮説を立て、麻酔下において体温を37度に維持したまま電気的に骨格筋を収縮させて、オレキシンニューロンの活性化を見たが、ほとんど変化が見られなかった。以上のことより、低強度運動により視床下部内側基底部のレプチン感受性が亢進することが明らかになった。また、その作用にはオレキシンが関与すると考えられる。
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Physiol Behav.
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10.1016/j.physbeh.2015.07.024.
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