研究課題/領域番号 |
26560399
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
今 淳 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60271798)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胎仔創傷治癒 / 心臓線維芽細胞 / 心筋梗塞 / 遺伝子発現 / 発生 |
研究実績の概要 |
昨度の実験における再現性に問題が本度の実験過程で見出されたので,昨年度と引き続き,マウスの胎仔創傷治癒機構から成獣創傷治癒機構へと転換する際に,心筋線維芽細胞で発現する遺伝子がどの様に変動するか,マイクロアレー法によって網羅的解析を数回繰り返した。また新たに胎仔創傷治癒機構特異的な遺伝子のエピジェネティクスの変化も解析した。胎仔創傷治癒機構を認める組織では高分子多糖のヒアルロン酸が著明に沈着するが,昨年度と同様に,このヒアルロン酸の合成酵素であるHas2の遺伝子の発現が著明に増強していることを再確認した。その一方で,ヒアルロン酸分解酵素遺伝子Hyal1は抑制していることが見出された。何れの酵素遺伝子はエピジェネテイクスな変化を受けており,前者は転写制御領域のDNAメチル化とヒストン修飾を,後者はヒストン修飾を受けていることが明らかになった。その他,注目すべきものとしては,胎仔創傷治癒機構では,ホメオボックス遺伝子に属する多数遺伝子の発現が胎仔創傷治癒機構では促進しており,この中には,この機構のみ発現するものも見出され,しかもエピジェネテイクス修飾も受けていることが明らかになり,この機構のマスター遺伝子である可能性が強く予想されるものを見出した。本年度は,このマスター遺伝子の候補を中心に,心筋梗塞モデル動物の心臓に遺伝子導入し,実際に瘢痕形成が起こらず,心筋が再生できるかの検証実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度,マウスの胎仔創傷治癒機構から成獣創傷治癒機構へと転換する際に,心筋線維芽細胞で発現する全遺伝子の発現変動及びエピジェネテイクス修飾の有無の解析を行ったが,本年度の実験の過程で再現性に問題のあることが見出され,再実験を繰り返す必要が出てきたため,最終的にはヒストン修飾の解析に後れを生じた。従って,進捗状況にやや遅れを生じたと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の来年度は,胎仔創傷治癒機構から成獣創傷治癒機構へと移行する際に,発現変動する遺伝子のヒストン修飾機構の解析を急ぐとともに,平成27年度でマスター遺伝子の候補として見出している幾つかの遺伝子を心筋梗塞モデルマウスに投与して,その治療効果を解析する。
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