研究課題
本研究の目的は歩行機能と脳機能(以後、脳の神経活動性を示す)の関連性が加齢に伴いどのように変容し、因果関係を形成するか否かについて明らかにすることであった。平成21年度に安静時脳糖代謝量を測定するFDG-PET (FDGはブドウ糖の類似化合物であり、血中に投与したFDGの脳内分布は局所の脳糖代謝を反映し、FDG集積の分布は局所脳活動と極めて高く相関する) および歩行機能測定をベースライン測定として行った120名の地域在住高齢者を対象に、5年後の追跡調査の募集を行った。結果、91名が追跡調査に参加した。追跡調査では、ベースライン調査同様、FDG-PETおよび歩行機能測定を行った。FDG-PETの測定では、最初にMRI画像を測定し、その後参加者の体重で投与量を標準化したFDGを静脈内に投与した。FDG投与後45分間開眼臥位にて安静を保ち、その後PETにて脳の安静時FDG集積を測定した。歩行速度は3mと8mの地点にテープで印を付けた11mの歩行路を直線歩行し、3m地点と8m地点の間5mの歩行時間を測定し、歩行速度(m/分)を算出した。最大努力下での歩行(最大歩行速度)を2回測定し、最速値を代表値とした。統計学的画像解析(Statistical Parametric Mapping,SPM)を用いて、ベースライン時の安静時脳糖代謝と追跡調査時の最大歩行速度の関連について検討したところ、後部帯状回が値が5年後の歩行速度と強く関連していることが明らかとなった。この結果は、ベースライン時の認知機能の検査結果(MMSE)を調整しても変化しなかった。本研究の結果から、後部帯状回の代謝低下が歩行機能の低下に強く関与している可能性が示唆された。
すべて 2015 2014
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