研究課題/領域番号 |
26560411
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
水村 真由美 (久埜真由美) お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60292801)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 幼児 / 身体活動量 / 室内空間 / 環境要因 / 実験住居 |
研究実績の概要 |
本年度は、外遊びが十分に実施できない環境下での子どもの身体活動量増加の取り組みとして、室内空間へのいくつかの工夫が自然な遊びの中での身体活動量に及ぼす影響を検討することを目的とした。対象は、3から6歳の男女幼児10名であった。調査は、お茶の水女子大学実験用住居「OCHAHOUSE」のリビングルームにて実施された。対象は、1あるいは2名で実験住居に入り、無地のマットを敷いた状態(対照条件)で自由遊びを10分行った後、①さまざまな色と形の描画が施されたマットを敷いた状態(マット条件)、②無地のマット状に円盤状でゴム製のディスクを10個設置した状態(ディスク条件)、③無地のマット状に10㎝高のプラスチック製ステップ台を10台置いた状態(ステップ条件)、の3条件をランダムに設定し、それぞれ15分間自由に遊んだ。自由遊び中の身体活動量を、3軸加速度センサー搭載の活動量計(オムロン社製)で記録した。その結果、3条件のうち、対照条件の活動量は2.0±0.4METs、マット条件では3.3±1.3METs、ディスク条件では3.4±1.1METs、ステップ条件では3.2±1.1METsであり、対照群に比べて3つの条件ともに身体活動量が有意に高くなった。なお各条件での活動量に性差はみられなかった。またマット条件では、座位が多くみられたが、ディスク条件およびステップ条件では、移動を伴う立位の時間が長かった。またディスク条件では、跳躍動作が頻繁にみられた。本年度の調査結果から、室内においても、運動を誘発する環境条件を設定することにより活動量が増える可能性が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度の実験室内での子どもの身体動作特性のデータを基に、実際に自由な遊び空間を実験住居内に設定し、1から2名といった少人数の幼児を対象に、身体活動量の調査を行った。なお当初は、研究対象者数を多く想定していたが、実験が約1時間半にわたり、大学の実験住居に来てもらって行う調査だったことも影響してか、研究協力者の募集に予想以上に時間がかかった。また幼児の体調不良などにより、協力の意志を示してくださった方の中にも参加できない対象も存在した。昨年度と同様に、幼児を対象に、実験空間での調査を行う難しさを痛感したが、そういった状況を踏まえると、一定の成果は得られたものと考える
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、前二年度の結果を踏まえて、幼稚園や保育園といった保育環境において、20から30名の幼児が同じ室内空間に一定時間いる状況での身体活動量に室内環境への工夫が及ぼす影響を検討する。すでに、過去の研究調査に協力下さった園に調査を打診しており、今年度の調査も研究計画通り実施する予定である。なおその成果を踏まえて、室内環境への工夫に関する情報を、ホームページやパンフレットを通じて、屋外での運動遊びが制限されている地域に発信する予定である。
|