研究課題/領域番号 |
26560413
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
渡辺 隆一 信州大学, 教育学部, 特任教授 (10115389)
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研究分担者 |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
友川 幸 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30551733)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エンパワーメント / 学校保健 / 開発途上国 / ケニア / バングラデシュ / CTC |
研究実績の概要 |
近年、開発途上諸国では、子どもから子どもへと健康に関する知識や技術を普及させる教育手法であるChild to Child(CTC)アプローチを用いた健康増進・環境改善活動が進められている。本研究では、①CTCアプローチを用いた健康・環境増進活動の実態と特徴(成功事例と課題の集約)、②成功・阻害要因、③CTC活動による子どもや教師のエンパワメントの可能性を明らかにすることで、④CTC活動の可能性と課題を明らかにすることを目的とした。平成27年度は、CTC活動の中で、子ども保健クラブを取りあげ、その推進状況を評価するツールを開発した。さらに、ケニアの農村部において、子ども保健クラブの活動(以下、保健クラブ)を行っている学校(45校)の担当教員に質問紙調査を行い、保健クラブの活動状況、活動上の課題、活動を通して得られる子どもへのインパクトを明らかにした。その結果、保健クラブの活動の目的については、44.4%の学校が学校の衛生状況の改善を目的とし、31.1%の学校が子ども達の衛生と健康に関する意識の向上を目的としていることが分かった。一方、子どもたちの社会性の向上を目的としている学校は極めて少なかった。さらに、実施されている活動としては、教室の清掃やトイレの清掃は、全ての学校で実施されており、その他には、実施割合が多い順に、水の消毒が97.8%、校庭の清掃が93.3%、ごみ処理が84.4%、歯磨きが82.2%、そして、水汲みが80.0%の学校で実施されていることが分かった。一方、靴の着用の確認、爪の衛生、学校菜園等の活動は、実施している学校が少ないことが分かった。また、保健クラブの活動を通して、子どもの創造力や社会性、リーダーシップ等が養われていることが分かった。保健クラブの活動上の課題としては、活動時間の確保、担当教員以外の教員や地域住民の協力、活動資金の確保、水源やトイレなどの衛生施設の充足が求められていることが明らかになった。
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