研究課題/領域番号 |
26560418
|
研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
佐藤 生馬 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 助教 (00586563)
|
研究分担者 |
藤野 雄一 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60588218)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 育児支援 / 睡眠リズム / 無拘束センサ / 睡眠計測 / 静睡眠 / 動睡眠 / 見守り |
研究実績の概要 |
子育てにおける母親のストレスや不安は様々なものがあるが,その中でも夜に泣き出すこと(以下 夜泣き)による睡眠に関する問題は精神的にも肉体的にも負担となっている.特に,乳用児は概日・睡眠リズムが確立されていないため,何時に夜間覚醒して夜泣きするかは誰にもわからないという問題がある.そして,脳波計等の拘束型センサにより,呼吸や心拍及び睡眠リズムを計測可能であるが,母親の心理的な問題等で使用は難しいという問題もある. 本研究では母親の育児支援を目的とし,無拘束なセンサマットによって乳幼児の呼吸や心拍及び体動による振動を計測し,その情報から睡眠リズムと乳幼児の状態を推定・可視化し,夜泣きや夜間覚醒などを知らせる子育て支援・見守りシステムを開発する. 本年度は提案システムを実現するための要素技術として,生後3ヶ月から8ヶ月の乳幼児一名を対象に毎月数回の頻度で一昼夜の睡眠状態をセンサマットにより計測し,睡眠状態の推定を試みた.そして,前年度に夜間の睡眠状態を計測・推定した3人の乳幼児と睡眠リズムを比較した.睡眠リズムの推定方法は前年度と同様の手法を用いた.最初に,センサからの振動データに対して,周波数解析を行い,この解析結果への閾値処理による体動の有無を推定した.そして,この体動の頻度から動睡眠・静睡眠および睡眠リズムを推定し,ビデオカメラからの情報を用いて睡眠リズムを確認した.また,前年度に引き続き,睡眠時の呼吸と心拍の推定を行った.静睡眠時における呼吸と心拍の推定に関しては容易であったが,動睡眠時は体動がノイズとなり推定が困難であった.そして,本手法では動睡眠において覚醒と動睡眠を明確に判別することが困難であった.以上より,今後は覚醒と動睡眠の判別と動睡眠時の呼吸と心拍の推定アルゴリズムの改良を行い,子育て支援・見守りシステムの実現を目指す.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,生後3ヶ月から8ヶ月の乳幼児一名を対象に毎月数回の頻度で一昼夜の睡眠状態をセンサマットによる長期間の計測実験を行い,睡眠状態の推定を試みた.そして,前年度に夜間の睡眠状態を計測・推定した3人の乳幼児との睡眠リズムを比較しており,睡眠リズムに関する研究はおおむね順調に進んでいる.しかしながら,去年度同様に呼吸と心拍の推定,覚醒と動睡眠を明確に判別することが困難であったため,やや遅れていると評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
動睡眠時の呼吸と心拍の推定,動睡眠と覚醒の判別が困難であったため,動睡眠時の心拍と呼吸を正確に推定するためのアルゴリズム,覚醒と動睡眠を判別可能なアルゴリズムの提案を行う.同時に,これまでの計測データに対して,提案アルゴリズムを用いてより再度解析し,乳幼児の月齢毎の睡眠リズムと個人差について解析する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
27年度から28年度にかけての乳幼児の計測実験の27年度の謝金の支払いを28年度に持ち越したため.
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度からの28年度にかけての計測実験の謝金に充てる.
|