子育てにおける母親のストレスや不安は様々なものがあるが,その中でも夜に泣き出すこと(以下 夜泣き)による睡眠に関する問題は精神的にも肉体的にも負担となっている.特に,乳幼児は概日・睡眠リズムが確立されていないため,何時に夜間覚醒して夜泣きするかは誰にもわからないという問題がある.そして,脳波計等の拘束型センサにより,呼吸や心拍および睡眠リズムを計測可能であるが,母親の心理的な問題等で使用は難しいという問題もある. 本研究では母親の育児支援を目的とし,無拘束なセンサマットによって乳幼児の呼吸や心拍および体動による振動を計測し,その情報から睡眠リズムと乳幼児の状態を推定・可視化し,夜泣きや夜間覚醒などを知らせる子育て支援・見守りシステムの開発を目標とする. 提案システムを実現するため無拘束センサマットからの情報用いた乳幼児の呼吸や心拍および体動と睡眠リズムの推定・可視化手法を提案する.提案手法の検証のため,ビデオカメラとセンサマットを用いて,生後1年以内の3名の乳幼児に対して数回程度の計測と,1名の生後3か月から12か月の乳幼児に対して毎月数回の頻度で計測した.そして,これらの取得したデータを用いて,乳幼児の呼吸や心拍および体動と睡眠リズムの推定・可視化を試みた. 本提案手法は,センサマットからの振動データに対して,周波数解析,フィルタ処理および閾値処理により体動の有無や呼吸と心拍を推定する.そして,これらの推定結果を用いて動睡眠・静睡眠および睡眠リズムを推定する.そして,ビデオカメラを用いて睡眠リズムなどを評価した.提案手法は睡静睡眠時における呼吸と心拍の推定に関しては容易であったが,動睡眠時の呼吸と心拍の推定や覚醒と動睡眠の判別が困難であった. 今後は機械学習などを用いて覚醒と動睡眠の判別と動睡眠時の呼吸と心拍の推定可能とし,子育て支援・見守りシステムの実現を目指す.
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