研究課題/領域番号 |
26560419
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20342446)
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研究分担者 |
辻原 万規彦 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40326492)
羽山 広文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80301935)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小学校 / 想像温度 / 温熱感 / 熱的不快 / 住育 / 地域性 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、夏季の東京と熊本の小学校教室にて、児童が暑熱不快感を得る物理的条件を把握し、暑熱不快を緩らげる環境調整行動を見いだすために実測調査を行なった。調査は、毎日の給食後と帰宅前に暑熱不快度(4段階)、想像温度、環境調整行動、肌着・発汗状態を申告してもらった。 東京は外気温が18.0~28.0℃で変動が大きく、調査した10日間の天候は晴天が少なく雷雨や強風もあった。窓側の室温:22.5 ~ 31.0℃、グローブ温:22.0 ~ 33.5℃で、廊下側は室温・グローブ温は概ね同じ:24.5 ~ 27.5℃だった。過半の児童が「不快でない」日がほとんどだったが、外気温・窓側の室温・グローブ温が上昇すると「暑くて不快」、「暑くてとても不快」が増えるが、「我慢できない暑さ」は僅かだった。一方、外気温や室温、グローブ温が前日より下がると「寒くて不快」が増えた。想像温度(いま何℃と思うか)と暑熱不快・寒冷不快には相関があり、想像温度が上がると暑熱不快度が増し、東京では想像温度が下がると寒冷不快が増えることがわかった。熊本は、外気温:25.0~28.5℃、室温・グローブ温:27.5~30.5℃に対して想像温度は 20 ~32℃の幅があった。「暑くて不快」が 20% になるのは想像温度 25℃で、それ以降は徐々に増え、想像温度 32℃で全員が暑熱不快に達し、「我慢できない暑さ」も 30%以上になった。 熊本では、給食後から帰宅前までに室温は概ね変わらなかったが、水飲み・汗拭きをした児童の帰宅前の想像温度は25~30℃で給食後より下がった。単体の行動別では、その効果は水飲み(給水)の方が汗拭き(排湿)よりもやや高かった。東京では、水飲み・汗拭きの有無による想像温度に変化は見られなかったが、汗を拭いた児童は、汗拭きをしなかった児童に比べて帰宅前の想像温度が給食後より僅かに低くなった。暑熱不快を緩らげる複合した環境調整行動の効果検証は今後の課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校における2年間の実測調査を終えて、地域性に配慮した「地域住育プログラム」を作成する予定である。特に、夏の暑熱環境緩和のための「地域住育プログラム」を開発する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は過去2か年の実測調査の結果をまとめて「地域住育プログラム」に反映することを目指す。プログラムは、学校側で取り組みやすいものにする必要があるので、小学校側の意見も取り入れて進める予定である。
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