研究課題/領域番号 |
26560419
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (20342446)
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研究分担者 |
辻原 万規彦 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40326492)
羽山 広文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80301935)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 想像温度 / 温熱環境 / 熱環境適応 / 平均放射温度 / 屋外気象要素 / 地域性 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒトの温熱心理尺度の「想像温度」に着目し、想像温度が温熱環境や生理から受ける影響やその後の行動に与える影響を明らかにした。 具体的には、まずヒトの熱環境適応に関する既往研究に基づいて、熱環境適応のプロセスを整理した。次に、札幌・熊本の小学生を対象にした夏の教室での実測結果に基づいて、想像温度と屋外気象要素との関係、想像温度と平均放射温度との関係を明らかにした。 札幌の小学生の想像温度・暑熱不快率・発汗感率・多湿感率は、外気温・実際の室温・平均放射温度と正の相関が高く、外気湿度・室内湿度と負の相関が高かった。一方、通風感率は外気温・日射量・実際室温・平均放射温度と負の相関が高く、外気湿度・室内湿度と正の相関が高かった。高湿度な環境下でも日射を十分に遮へいして、平均放射温度を過度な上昇を抑えれば、発汗によって濡れた皮膚や着衣面に室内を抜ける風が当たり、蒸発が促されることで通風感は得られやすいと考えられた。 熊本も札幌と同様の傾向がみられたが、想像温度・暑熱不快率・発汗感率は外気温・日射量と正の相関があり、窓側が最大で、中央、廊下側と徐々に下がる。また、外気湿度・室内湿度とは負の相関があり、同じく窓側・中央・廊下側と徐々に下がる。これは窓側の小学生が屋外気象要素(外気温湿度・日射)の影響を強く受けていて、暑熱不快感を和らげるためには、窓外での日射遮へいが熱環境適応を促す上で重要と考えられる。 以上から、想像温度は室内の温熱環境・人体の各要素だけでなく、屋外の気象要素からの影響も受けていると予想された。今後の想像温度による熱環境適応の評価において、屋外気象要素と熱環境適応の対応関係を整理することが重要であることがわかった。
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