研究課題/領域番号 |
26560421
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大庭 真人 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 研究員 (20386775)
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研究分担者 |
佐治 伸郎 鎌倉女子大学, 児童学部, 講師 (50725976)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育的環境 / 状況起因的な語り |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き幼児が養育者との間で交わした対話の映像コーパス(2歳~3歳)における子どもの発話に対する養育者の応答表現に関し分析を引き続き進め、先行する子どもの発話をそのまま反復したり、その一部を変形しつつほぼ同一の表現を反復したりする表現のことを響鳴(resonance)として(崎田2010)定義し、その年齢とオノマトペ表現との間で響鳴現象としてどの程度の重複表現が見られるのかを分析した結果に基づき、養育者の幼児への語りかけの形式の変化を引き続き検討した。近接分野における研究の成果(Yurovsky et al, 2016)も取り入れつつ、論文化を進める。 他方で、本研究では昨年度から継続して上記コーパスとは別に生後6ヶ月から不定期で週4日程度映像データを収録している。乳幼児が月齢とともに養育者とどのようなインタラクションを交わすのかをアーカイブ化中であり、アーカイブ化と並行して映像における養育者の発話を書き起こしも行っている。乳児が発話を行う前から、養育者が「いまここ」にないものをどのように乳幼児に語っているのか、乳幼児が積極的に養育者に語りかける前には「いまここ」にない対象は「いまここ」にある何かを起点として立ち現れるのに対し、幼児が遅延模倣などにより自発的に「いまここ」にないものを言及した場合には「いまここ」から、なるべく幼児の発話状況の追認や追感情が言及される場面が生起していた。また、養育者はピッチのスイッチングにより、いわゆるCDS(Child-Directed Speech)との切り替えを行うことにより、養育者間で交わされる発話を挿入する場面も散見され、養育者間インタラクションが言語環境として変わらずに提示されていることも確認した。現在、これらについても分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
映像アーカイブ化への作業に伴う音声の書き起こし作業が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きアーカイブ化を進めるとともに、書き起こしデータの分析および映像データとの対応づけを行うとともに、データ分析・論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アーカイブ化に伴う書き起こし作業を継続して行う必要があり、その作業への支払いとして次年度も使用するため。
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次年度使用額の使用計画 |
ほぼ書き起こし作業用謝金(細目上は「その他」に経常)および研究打ち合わせのための旅費として使用する予定である。
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