研究課題/領域番号 |
26560425
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡本 直輝 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (10204041)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 鬼ごっこ / 移動距離 / 移動速度 / GPS / 方向転換走 |
研究実績の概要 |
今年度は、鬼ごっこにおいて、鬼の数を2名、3名、4名にした場合の子どもらの動きを比較検討することを目的とした。 昨年と同様、小学校3年生、4年生を対象としたサッカ-クラブに通う10名の子どもにGPS(GSPORTS社製)を装着させ、サッカ-教室のプログラムで実施される10分間の鬼ごっこ中の子どもの動きを観察し、総移動距離、移動速度、ランニングの頻度等を算出した。また鬼ごっこの開始から終了までの子どもの動きを3台のビデオカメラで撮影し、走り方やステップの特徴を質的分析により算出した。 1分間あたりの総移動距離についてみると、1名鬼では58.2±8.5m/分、2名鬼では67.2±8.7m/分、3名鬼では79.8±12.9m/分、4名鬼では78.5±9.8m/分であり、1名鬼よりも2名鬼、2名鬼よりも3名鬼の方が有意に高い値を示した(P<0.05)。しかし3名鬼と4名鬼の間には有意な差は認められなかった。速い速度でのランニングやダッシュの出現頻度についてみると、3名鬼および4名鬼の場合は、1名鬼および2名鬼よりも有意に高い値を示した(P<0.05)。また、曲線走、バックペダル、サイドステップといった方向変換を伴う走法については、3名鬼および4名鬼の場合が、1名鬼および2名鬼よりも出現頻度が多かった。 以上のことから、本研究で用いた25m×25mのコ-トの広さでは、3名鬼の場合の運動量が最も大きく、方向変換を含む様々な走法が実践されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鬼ごっこの特徴を、GPSを用いて、走行距離およびランニング速度から観察し、ビデオ撮影から鬼ごっこ中の走り方について質的分析を行った。鬼の数を増やすことによって、走行距離や方向変換走の頻度が増加することが明らかとなった。 日本サッカ-協会等では、鬼ごっこが子どもらのトレ-ニングとって有効であると提示しているが、ル-ルの変更によって子どもの運動量や走法を調整できることを明らかにできたのではないかと考える。また本研究結果を学会等で報告したところ、グランドの広さと子どもの数による影響について質問が多数寄せられた。この視点について、本研究では考慮していなかった点であり、検討すべき課題であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
遊びとしての鬼ごっこは、多くの種類が紹介されている(鬼ごっこ協会等)。その中で、手つなぎ鬼は、2名、3名と鬼の数を増やすことによって、子ども同士の調整方法が変化するのではないかと考える。 そこで今後は、子どもらが鬼になって追いかける時、手を引っ張られることによる筋感覚の影響、声掛けに等によるランニング速度やランニング方向の調整等に着目し動作の特徴を検討することを目的とする。特に子どもらの協調性の向上に手つなぎ鬼がどのように影響を及ぼしているのかを検討する。具体的には、手を繋いだ場合の子どもらの並び方、両者の距離、ランニング速度や方向変換のタイミングに焦点をあて、動作のビデオ映像から質的分析を行うことで手つなぎ鬼の特徴を明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
3年目の研究を実施するための費用として準備をしている。
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次年度使用額の使用計画 |
ほとんどの費用を実験における験者および分析補助の人件費として扱う。若干消耗品費として扱うことを考えている。
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