今年度は、手つなぎ鬼における子供らの動きの観察(A)、鬼の数を3名にした場合のトレーニング効果(B)の2ヶの研究を進めた。測定方法については昨年までと同様の方法で実施した。 Aの研究での1分間当たりの総移動距離についてみると、2名の手つなぎ鬼の場合は56.0±7.3m/分、3名の手つなぎ鬼の場合は55.5±7.9m/分であり、それぞれ昨年度に実施した鬼の数を2名、3名、4名と増やした場合の研究結果と対比すると有意に低い値を示した(P<0.05)。さらにステップを含む方向転換走の出現回数については、手つなぎの場合は鬼の数を2名以上に増やした場合と比べると有意に低い値を示した(P<0.05)。映像を用いた質的分析結果から、手つなぎ鬼の子どもの動き(鬼側の動き)は、手を繋いだ仲間同士が移動速度を合わせるため歩幅を調整していることが明らかとなった。3名の手つなぎ鬼の場合、中央に位置する鬼が両端の仲間をかけ声や腕を引くことで誘導している傾向があった。 これまでの運動量比較研究結果から、鬼の数を3名にする場合が子どもらの運動量が大きく、方向転換走などの出現回数も多くなることが明らかとなった。そこでB研究で鬼の数を3名の条件にして8週間のトレーニング(1回/週)を実施し、総移動距離、方向転換走出現回数(ステップ様式)のトレ-ニング効果について検討した。総移動距離ついて見ると、8週間のトレーニングで変化は示されなかったが、スプリントの移動距離についてみると、5週目から有意な増加を示している(P<0.05)。ステップの出現回数についてみると、4週目から両足方向転換走等が有意に増加した(P<0.05)。ジュニア期のトレーニングとして鬼ごっこが推奨されているが、特に3名以上の鬼ごっこをトレ-ニング法として利用することによって、球技などに必要なステップワークの能力が向上するものと考えられる。
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