ヒト血漿中からの新規分子探索には、医学的重要性からも大きな期待が寄せられる。しかし、のく的とする生理活性分子の能動が極端に低いと予想されること、ならびにアルブミンなどの脂質をトラップするタンパク質の存在などが、その実現を大きく妨げている。我々は、細胞間コミュニケーションにおいて近年重要視されているエキソソームに着目し、その内容物を調べることで新規生理活性分子を探索しようと考えた。 動植物培養細胞の培地に分泌されるエキソソームを実験材料として、抗体法と超遠心分離を基にしたエキソソーム分離法を検討し、化合物探索を行ったが、新規分子の探索には至らなかった。この結果は、分泌されるエキソソーム量が少ないことと、精製効率の低さが原因と考えられた。しかし、がんなどの疾病を患う病態サンプルを入手できれば、これらにおいては、細胞間コミュニケーションの更新が予想されることから新規分子を発見できる可能性が高いと考えている。
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