本研究課題では、特定の生体分子を標的として特異的に結合する生体内RNA ないし生体内ペプチドを探索するための新しい手法の開発を目指して、生体由来RNA画分から構築したRNAライブラリを用いたin vitro セレクション法の確立を進めた。人工のRNAやペプチドを探索する手法としては、既にRNAに対するSELEX法やペプチドに対するmRNAディスプレイ法などが知られているが、本研究では生体から抽出したRNAやそれを翻訳したペプチドをライブラリとして用いることにより天然に存在するRNA やペプチドと標的分子との相互作用を探索することを実現した。 生体内RNAのセレクションとしては、葉酸を標的としたin vitroセレクションを実施した結果、昨年度までにマイクロRNA前駆体の一つであるpre-miR-125aを同定し、葉酸とpre-miR-125a の相互作用様式の解析結果をRNA誌に報告した。 また、生体由来のsmall RNAから翻訳したペプチドライブラリを用いたペプチドのin vitroセレクションを実施した。そのなかで、Keap1に結合する天然ペプチドのセレクションの結果、Keap1に結合するペプチド配列が複数種類得られたため、表面プラズモン共鳴法によりKeap1とペプチドの相互作用の強さの解析を行った。また、細胞抽出液を用いたプルダウンアッセイの結果、確かにKeap1とペプチドとの結合が見られることが確認された。これらの解析結果については論文として現在投稿準備中である。
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