研究実績の概要 |
本研究で提案した新しい人工塩基であるdWをもつ新規デオキシヌクレオシドの合成について、種々合成を検討した。まず、dWの塩基(W)部位の合成について、2-アミノマロン酸ジエチルエステルとアンモニアを反応させたところ、対応するジアミドが55%の収率で得られた。この生成物に、トリエチルオルソトホルメートとギ酸の存在下イソプロパノールと加熱還流したところ4ーカルバモイルー5ーヒドロキシイミダゾールが93%の高収率で得ることができた。このものは溶媒に難溶性の塩酸塩として得られたため、中性な化合物として得るため種々検討したところ、DMSOに溶かしたのち、ピリジンを加えることで遊離の化合物が得られることがわかった、つぎに、基本構造であるWのデアミノ体の合成のため、4位と5位の官能基間の環化反応を種々検討した。その結果、オルトギ酸フェニルを用いて反応をしたところ、予期に反して、アミドの部位がジメチルアミノメチレン化されたものが主生成物として得られることがわかった。このものを種々の試薬で活性化して、環化反応を検討したが、環化体は得ることができなかった。アミド基がN-ホルミル化されたものが得られたが、このものをさらに環化を試みたが反応しなかった。 そこで、方針を変更して、糖部位にあらかじめ人工塩基を先に結合する新しい戦略を練った。まず、そのグリコシド化に必要な原料として、4ーカルバモイルー5ーヒドロキシイミダゾールのヒドロキシル基がシリル系の保護基で保護されたものを合成した。シリル化試薬として、トリイソプロピルシリルクロリドをイミダ塩基としてDMF中反応したところ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー中でも安定なシリル化生成物を合成することができた。この化合物を用いて、現在糖部位の3',5'-水産基をt-ブチルジメチルシリル基で保護したデオキシリボースとの光延反応について検討している。
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