研究課題
TrmAヒトホモログ遺伝子など対象とするRNA修飾遺伝子についてタグ融合状態でヒト培養細胞内で発現できるようクローニングした。アミノ酸置換による不活性変異体も行っている。作成したコンストラクトについて汎用的な培養細胞株での発現確認を行い、報告のなかった細胞内局在に関する知見を得た。またケミカルプロービングのための核酸アナログ分子の培養細胞RNA内への取り込み効率を培地中濃度と培養時間で検討した。複数の候補分子から細胞生育への影響が少ないものについて取り込み効率が最大(結果として約15%)となる濃度と培養時間を決定した。最終的にアナログ分子導入条件下におけるRNA結合能を評価した。ここではシュードウリジン合成酵素PUS1の一過性発現とアナログ分子導入をあわせて行い、PUS1のタグ抗体免疫沈降画分におけるRNAに既知の基質RNAが濃縮されているかをqRT-PCRによって検討し、アナログ分子依存的に既知の基質RNAの濃縮が確認された。
2: おおむね順調に進展している
目的遺伝子を複数クローニングし、発現条件とアナログ分子の取り込みを検討した。既知RNA基質での検証段階とはいえアナログ分子依存的な酵素へのRNA濃縮ができたと考えられ、コンセプト実証という観点から一定の達成があったと考えている。また目的遺伝子としてクローニングしたうちには未だ基質が不明なものもあり、細胞内局在の知見を得ることで標的基質の推測や今後の検証を進める足がかりを得た。
今回みられたRNA回収物の検証やRNA回収法の最適化は引き続きすすめる必要がある。mRNA中の修飾同定という観点ではこの年度だけで多くの論文が発表され、存在証明という点では先行されてしまった修飾構造も存在する。一方、方法論としては未だ実証されていない新規なアイデアであることや探索されていない修飾を対象にしているなど既報にない要素を含めつつ計画を推進していく必要があると考えている。
現段階ではモデル実験とその検証、そのための条件検討を行ったが、小スケールでも可能な実験系をデザインし、実施したものが多かったことが挙げられる。
今後は培養細胞をより大きなスケールで扱う実験系が考えられ、次年度使用によるそれを補っていく計画である。また今後の目標である大規模シーケンス解析と、それに供するcDNAライブラリの作成に活用する計画である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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