研究課題
アイモチーフは、シトシンが豊富に存在するDNA 配列で形成される特殊な高次構造である。グアニンが豊富なDNA 配列で、アイモチーフと相補的に形成されるグアニン四重鎖(G4)構造が転写や複製などの様々な生命現象を制御していることから、アイモチーフもG4と同様、転写等において中心的な役割を担うと考えられるが、これまでにアイモチーフ構造を選択的かつ強力に安定化する低分子化合物が存在せず、その機能に関する解析はほとんどすすんでいない。本研究では、アイモチーフの機能解明を指向し、アイモチーフを選択的に安定化するリガンドの創製について検討を行った。(1)シトシン-シトシン塩基対平面を標的とするアプローチアイモチーフは、シトシン-シトシン塩基対平面が層状にスタキングすることで形成される高次構造である。そこで豊富なπ電子を有する当該平面構造とスタキングを介して相互作用する平面性の高い低分子化合物を種々合成し、これらのアイモチーフに対する安定化能を評価した。FRET融解実験により評価した結果、合成環状化合物の1つに、アイモチーフと選択的かつ強力に相互作用する化合物を見いだすことができた。見いだした化合物に対し、アイモチーフとの相互作用様式を解析した。その結果、本化合物は初期のアイモチーフ構造を単に安定化するのではなく、他の構造へ変化させながら安定化していることが強く示唆された。(2)アイモチーフのグルーブを標的とするアプローチアイモチーフ高次構造に特徴的なグルーブを標的として、これを認識する低分子化合物の探索を、イン・シリコドッキング実験により行った。その結果、約7万化合物ライブラリーから、約200化合物のアイモチーフリガンド候補を取得した。さらにその一部について、FRET融解実験による安定化能を評価した結果、約50化合物を新規アイモチーフリガンド候補として取得することに成功した。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 16件、 招待講演 4件)
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