研究実績の概要 |
本研究では、ある情報を誰に伝えたかについての伝達先記憶(destination memory)の神経基盤について、複数の脳機能画像法を用いてデータ取得を行った。具体的には、課題遂行中の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)によって測定すると共に、脳領域のボリュームを評価するためのT1強調画像を撮像した。 fMRIによる脳機能画像による検討では、情報源記憶の処理に重要な役割を果たしている内側側頭葉領域が、情報源記憶の処理にも関わっていることを明らかにした。本研究は既に論文としてその成果が発表されている(Mugikura et al., 2016, Exp Brain Res)。具体的な成果としては、1) 伝達先記憶には海馬傍回が重要な役割を果たしていること、2) 伝達先記憶に関わる確信度については、海馬傍回の特に後方の領域が重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらの結果は伝達先記憶に関わる情報が内側側頭葉を介した詳細な記憶の想起(recollection)のプロセスに強く依存することを示唆している。 脳構造の解析は様々な解析手法を試している段階であり、未だ論文発表には至っていないが、内側側頭葉領域のなかでも特に海馬傍回のボリュームに着目した解析を行っている。
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