研究課題/領域番号 |
26560467
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳澤 琢史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90533802)
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研究分担者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10332743)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 想起画像再構成 / 皮質脳波 / Brain-machine interface / ビックデータ / 脳磁図 |
研究実績の概要 |
平成26年度は画像知覚時と想起時の脳活動の共通性を明らかにするため、頭蓋内電極を留置した患者5名から多数の画像(ヒトの顔、風景、物等の数カテゴリー)を知覚している時と想起している時の皮質脳波を計測した。それぞれの課題について、時間周波数解析及びPhase-amplitude couplingの解析を行い、活動の特徴を明らかにした。また、それらを用いたDecodingをSupport vector machineによって行った。更に、お互いの課題で共通する情報についてもDecoding法により定量的に検定した。この対応が明らかになることで、任意の画像を推定する方法に繋がると考えられる。現在、詳細を解析中である。 また、同様の課題の脳磁計を用いて行い、健常者9名について、より多くの画像知覚時と想起時の活動を計測し、Decoding法による比較を行った。この研究のpreliminaryな結果を英文専門誌に投稿した。 頭蓋内電極を留置した患者が日々視聴する大量の画像・動画等のマルチメディアコンテンツについて頭蓋内脳波との同時計測を行う装置を完成させ、3名の患者に適用しデータを得た。特に患者が視聴している内容だけでなく、視聴中の患者の様子も計測することで、患者の状態に応じた情報表現についてビックデータ解析を行う準備が整った。このような計測は世界でも例がなく、ヒトが普段何気なく行う知覚認知処理について、新たな知見を得られると期待される。平成27年度において、これらのデータから視聴覚情報のモデルを作成していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、5名の患者についてデータ計測を予定していたが、予定通りの人数について計測を行う事が出来た。また、ビックデータ取得用の計測システムの開発も予定通り完了した。更に、侵襲データだけでなく、非侵襲の脳磁計でも同様の計測を行い、英文専門誌に投稿した事から、研究は概ね順調に伸展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、得られたデータから情報を抽出するためのアルゴリズムについて、ビックデータに用いる解析方法を含め、様々な方法を試す必要がある。特にアルゴリズムの開発については、他研究で行っている知見を応用して行く事で、効率の良い開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度予算として、解析用大型計算機の導入を計上していたが、他予算での計算機環境の整備があったため、一旦見送り、皮質脳波との対応をつけられる脳磁計測費用に用いることで、研究を更に広く展開した。このため、予算執行を平成27年度に持ち越す形となった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、皮質脳波計測及び脳磁図計測を組み合わせることで、新しい視覚再構成を行う。特に視覚再構成をリアルタイムに行いフィードバックするシステムを構築するため、脳磁図を用いたテストを約20回程度行う予定である。これにより開発されたシステムを皮質脳波での計測に用いることで効率よく研究を伸展できると期待される。脳磁計測は1回27540円かかるため、約20回の計測でも50万程度の支出が見込まれる。また、迅速な成果発表のため、OA誌の活用を検討しているが、論文投稿費用等も高額となるため、その費用を計上する。
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