研究課題
脳機能イメージングは主にfMRI(functional magnetic resonance imaging)などを用いて行われるが、これらは中枢神経細胞の活動に応答する『間接的』指標を検出するのみで、脳局所の活動にどのようなエネルギー代謝分子が関連しているかは明らかにならない。本研究では、代謝分子の局在を可視化する「質量分析イメージング」を発展させたグルコース代謝のフラックス(流束=流れ)のイメージング法により、「活動脳局所」でどのようなグルコース代謝経路が駆動しているかをイメージングにより明らかにする。より詳細には投与した標識グルコースが外部刺激に応答する脳領域で「どのような」代謝分子に変換されたかを網羅的に可視化し、さらにfMRIとの相補使用により、血中酸素濃度依存的シグナル(BOLD)信号応答領域でのin vivoエネルギー代謝実態を解明する。最終年度では上記プロトコルを、神経細胞 or アストロサイトに光感受性タンパク質チャネルロドプシンを発現させることで、光照射により特定細胞種を刺激できるマウス解析へ適用した。その結果、アストロサイト刺激時にも神経活動非依存的なBOLDシグナルが発生し、これにはグルコースからアセチルカルニチンへの酸化的代謝の関与が示された。さらにアセチルカルニチンはマイクロダイアリシスにより細胞外へ放出されている事も明らかにった。以上からから刺激されたアストロサイトは代謝基質としてアセチルカルニチンを産生し、神経細胞へシャトルする機構が考えられた。さらにアストロサイト-アセチルカルニチン代謝がBOLD信号ソースである事も示唆された。
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Scientific Reports
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Free Radical Biology and Medicine
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