逆行性・順行性の脳内線維連絡トレーサーであるコレラトキシン・ベータ分画(CTB)に、PET visible tracerを付加して、脳の結合を生体内で確認し、結合部位(一方は深部)の二点間同時電気記録やDiffusion Tensor Imaging(DTI)などの非侵襲トラクトイメージングとの重ね合わせを行い、DTI可視化バンドルで実際どこが結合しているかを調べることを目標とする。本年度は、CTB自体が18Fの検知限界である4時間以内にどれだけの移動をするか調べた。その結果、ラットでは、この時間圏内に、大脳皮質の対側まで、シグナルが見えることが判明した。また、CTBに18Fを付加する手法を早稲田大学との共同研究により確立した。現在、いろいろな条件下で、可視化の手法を探っているところである。また、CTBにAlexa 555を付加した条件で、他者の動きに反応する領域であるFSTにトレーサーを注入して、それによって生体内で可視化された運動前野に電気記録電極を挿入すると、他者の動きと同じ動きを自分で行うと、どうような電気活動が起こることがわかり、世界で初めてマーモセットでミラーニューロンがあることを証明した。また、マーモセットの上側頭溝尾腹側に光沢に反応する領域を発見した。この領域にCTB-Alexa 555を注入するとMTcやTEOに標識が見られることがわかった。この中で、MTcもまた光沢に反応することがわかった。反応の程度と、刺激の各種パラメーターを調べるとMTcとその投射する上側頭溝尾腹側において、光沢に関与するscunessのパラメーターが偏っていることが、示され、この回路によって光沢反応に重要なscunessのパラメーターが伝達されることが、示された。これらの結果は、CTBにラベルした標識による生体内の線維連絡の検討が、有用であることが示されてた。
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