研究課題/領域番号 |
26570006
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
後藤 健介 大阪教育大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60423620)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スナノミ症 / ケニア / 実態把握 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
スナノミ症は、スナノミ(学名:Tunga penetrans)の雌がヒトの足などの先端部に咬着し、真皮へ産卵することで発症する、アフリカ、中南米、インドに分布する感染症である。激しい掻痒を起こすほか、熱帯地方では病変部位から細菌感染し、破傷風などの重篤な疾病原因となることがあるが、研究事例が少なく、感染地域外では軽視されてきた。 そこで、本研究では、広域で詳細な調査が行われていなかったスナノミ症感染について、広域地域の全住民の感染状況を調べて介入研究を行い、感染の分布特性等の把握と、効果的な感染予防策を明らかにし、対象地域の感染撲滅を目指す。対象地は、研究事例が皆無でスナノミ症が社会問題となっているアフリカ・ケニアのクワレ地区とし、1)対象地域のスナノミ症感染の実態把握、2)対象地域の住民の生活習慣の把握、3)自然環境との関係把握を実施し、これらの結果を基に4)介入調査を実施することで、感染撲滅に繋げていく。 平成26年度は、以下の作業を行った。1)本課題に関する調査研究の許可を得るため、大阪教育大学倫理委員会への申請を行い、許可を得たほか、ケニア中央医学研究所(KEMRI)研究審査委員会のメンバーとの調査研究許可について話し合いを行い、許可を得ることができた。2)現地調査を現地でサポートしてもらうため、現地のCBO(Community Based Organization)と協議を行い、サポートスタッフの確保、調査に必要な現地備品の整備・予約等を行った。3)長崎大学の人口登録と動態追跡調査(Health and Demographic Surveillance System:HDSS)登録情報の使用に関して、長崎大学と協議を重ねて許可を得たほか、登録者へのアンケート調査票の作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケニアの社会情勢により、渡航に若干の支障が生じたほか、現地での調査研究を開始するための、現地関係機関および組織との調整に予想以上に時間がかかってしまった。しかしながら、すべての機関および組織との調整も年度内で行うことができ、次年度での調査研究をすぐに開始すべく事前準備がほぼ済んだことに加え、現地での事前調査も完了したことから、十分に遅れを取り戻せるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、8月までに住民へのスナノミ症に関する実態調査とアンケート調査を実施する。対象住民は、長崎大学のHDSS調査エリア内の約5万5千人を対象として、戸別訪問を行うことで実施する。この調査結果から把握した感染者について一斉治療を実施した後、介入研究を行うエリアを特定し、靴、ブルーシート、治療薬の配布の3種類における介入研究を行う。これらの調査においては、現地CBOによるサポートやケニア中央医学研究所、現地医療スタッフからの協力を仰ぎながら、効率よく実施する予定である。 また、衛星データ解析による自然環境調査も並行して実施し、実態調査結果と比較を行うことで、今まで科学的に分かっていなかったスナノミ症の詳細な実態解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画として、平成26年度内に現地での現地調査およびアンケート調査、感染者の一斉治療を実施する予定であったため、その調査や治療に関する現地スタッフへの謝金や備品を計上していたほか、平成27年度に実施予定である介入研究の介入用品購入のための費用を計上していたが、現地関係機関および組織との調整に時間を要してしまい、予定に遅れが生じたことにより、これらの費用の支払いが次年度に持ち越しとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度においては、8月までに対象住民全員への現地調査及びアンケート調査を実施することが決まったため、この調査をサポートする現地スタッフへの謝金として使用することが決定している(現地関係機関・組織と調整済み)。 また、介入用品に関して、平成26年度内に調整・予約を済ませることができたため、介入のための対象地住民へ配布する靴、ブルーシート、治療薬の購入に使用する。
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