本研究ではインドネシアを軸とした海民の民族考古学的フィールド調査と現地での資料収集、またこれらをベースに、海民やネットワーク型社会の成立過程に関する歴史・考古学的な分析を行えたことがまず挙げられる。その成果として、本研究では東南アジアににおける海民やその社会の原型(プロトタイプ)が新石器時代期まで遡れる可能性を指摘しえた。いっぽう、現代における海民を対象とした空間・地政学的な分析では、現代の国境線やインドネシアにおける州・県といった境界線を意識的、戦略的に超えながらネットワークを拡大する海民の動態の把握・理解を進めることができた
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