研究課題/領域番号 |
26570011
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
平山 雄大 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 助教 (80710649)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地域研究 / 教育学 / 近代学校教育 / 僧院教育 / ブータン |
研究実績の概要 |
本研究は、ブータンにおいて「一般に開かれた近代学校教育」が導入された1950年代以降、同国にもともと存在していた僧院教育と新興勢力である近代学校教育がどのように対立・相反し、また一方でどのように融和・補完し合いながら同国の人材育成を担ってきたのかを、参与観察及び面接調査を通して実証的に明らかにすることを主目的としている。また本研究は、今まで同国の教育研究においてほとんど言及されてこなかった僧院教育に焦点を当てることにより、ブータン近代学校教育史研究に深みを持たせると同時に、同国の僧院教育研究の萌芽となることを目指している。 2年目となる2015年度は、第一に、1年目より継続して行っている資料・文献調査を実施した。僧院教育に言及した資料・文献の収集に努めると同時に、新聞クエンセル(Kuensel)の記事、国民議会議事録・決議録、各種会議のプロシーディング等より僧院教育について言及された箇所を抽出しその変遷を整理・分析した。また、1950年代以降の近代学校教育政策の変遷とその特徴を再考した。第二に、ティンプー(Thimphu)県、ハ(Haa)県、ブムタン(Bumthang)県において僧院学校及び近代学校を訪問し、その現状、課題、両者の関係性の実態を把握した。 研究成果は、研究代表者が主宰する勉強会・研究会の参加者に対して個別に報告し討議を行った。今後、成果の文章化を進め、関連学会の紀要等に研究論文を投稿していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書の「研究目的」に記した本研究の具体的な目標・課題に関して、2年目に実施予定であった【僧院教育の実態の整理・分析】についてはおおむね順調に進展したが、【近代学校教育と僧院教育の相反性・補完性の把握・分析】のための参与観察・面接調査は、当初予定されていたプナカ(Punakha)県、タシガン(Trashigang)県におけるものは本格的なものを実施するまでには至らず、最終年度に持ち越すこととなった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、資料・文献調査に関しては最終年度となる3年目も引き続き実施する。資料・文献調査と参与観察・面接調査の結果を踏まえ、教育現場における「伝統と近代の共存」を可能とする要因を考察し、より一層ブータン社会に即した持続可能な人材育成の提供に向けた提言を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた参与観察及び面接調査が限定的なものにとどまったため、次年度使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
ブータンにおいて参与観察及び面接調査(第三次調査)を実施する。
|