研究課題/領域番号 |
26570013
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
南 博史 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (00124321)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 先スペイン期集落 / 円形土盛遺構 / メソアメリカ考古学研究 / プロジェクト・マティグアス / コミュニティミュージアム / ニカラグア / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
【調査研究活動の概要】平成26年8月21日~9月7日、平成27年2月12日~3月10日の2次にわたり現地での発掘調査、博物館活動を実施した。京都外国語大学では調査研究の成果を報告する国際シンポジウム「メソアメリカ考古学研究とその展望~次世代を担う日本人研究者たち~」(11月24日)を開催した。これに加えて活動紹介する写真展を内外で実施し、調査研究活動の普及に努めた。 【発掘調査】ラスベガス遺跡の中心部にある円形土盛遺構(マウンド1)に幅2m、長さ10mのトレンチを設定しマウンドの構造、性格を明らかにする調査を行った。その結果、頂部と裾部近くに集石を確認。墓の可能性があったため調査は次年度にまわした。また、遺跡の範囲確定のために測量調査と域内のマウンド分布の調査を実施した。非常に低いマウンドや集石が分布しており、あらためて詳細な測量が必要であることがわかった。出土遺物は、ニカラグア国立自治大学考古学情報機関にて保管、整理・分析している。 【博物館活動】調査報告会を平成26年9月2日マティグアス市文化センターにて行った。平成27年2月21日には「発掘調査速報展」を開催(2月26日まで)するとともに、これにあわせて「プロジェクト説明会」と住民へのアンケート調査を行った。また、遺跡近辺のティエラブランカ村では今後の交流のきっかけづくりとするため地元小学校への日本企業からの教育資材支援プロジェクトをサポートした。 日本国内では、研究成果を報告する(「京都ラテンアメリカ研究所研究紀要」、および「国際文化資料館研究紀要」)とともに、国際文化資料館にて「プロジェクト・マティグアス活動報告展」(平成27年1月19日~1月31日)を開催し一般への普及につとめた。また、国際文化資料館および京都ラテンアメリカ研究所HPのブログに日頃の活動を紹介している(「掘れ惚れニカラグアdiary」)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【考古学調査】予定通りラスベガス遺跡にて発掘調査を開始できた。学術的のみならず博物館づくりに向け着実に先住民文化の資料を収集しつつある。また、調査している土盛遺構(マウンド)から墓の可能性がある遺構を検出した。出土遺物の分析は、ニカラグア国立自治大学考古学情報機関にて進めている。 【博物館づくりに向けた活動】NGO「ANIDES」との協働によるコミュニティミュージアム設置にむけ、ティエラブランカ村の住民の敷地内の建物に調査研究ベースを置くことになり、その準備を進めている。また、調査ごとの報告会を開催しており、プロジェクトの活動について地域への普及を進めることができている。さらにこの報告会では地域からの考古学情報が届けられており、フィールドミュージアムづくりに向けて住民の関心は次第に高くなっていると推測する。 【地域課題解決型プロジェクトについての展開について】一方、考古学をのぞいた先住民文化についての調査について、ティエラブランカ村での調査がその中心となる予定だったが、計画的な調査がまだはじめられていない。上記の調査研究ベースを設置すること、またサポートしている民間企業からの教育資材の支援事業などを経て進めていけると考える。 【社会への普及活動】研究面では、研究報告の発表、国際シンポジウムの開催など予定通り進んでいる。また、一般への普及活動についても、国際文化資料館での展示、HP、ブログなどでの情報発信を行っており、ほぼ目標どおりに達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
【考古学調査】マウンド1の発掘調査を進める。とくに墓の可能性がある集石を調査することでマウンド性格を明らかにできる。また、遺跡が予想以上に広がっていること、遺構の保存状態が良好でその分布が濃密であることを受けて、遺跡の構造解明に向けた中長期の調査計画をたてる。2016年の調査報告書を出版するとともに、2017年の調査報告を11月末に文化庁へ提出する。ここには3回の発掘調査で出土した遺物の分析結果、とくに土器の基礎的編年について報告する予定である。 【博物館調査】ティエラブランカ村に設ける調査研究ベースを起点に、村内でのアンケートをはじめ先住民文化に関係する資料の収集を目的とした博物館調査を始める。また、子供を対象とした教育普及プログラムについても実験したい。なお、昨年までの報告会において提供されている周辺地域の遺跡情報を確認するフィールドワークを行う。 【地域課題解決型プロジェクトについての展開について】このような考古学と博物館の調査を踏まえ、調査の報告と今後の計画についての展示会と意見交換会を村内の小学校で開催したい。また、こうした成果を各地域へフィードバックする方法について検討を行う。 一方、日本国内においては、引き続き国際文化資料館を中心として教育普及活動を行うとともに、京都ラテンアメリカ研究所と連携し研究講座などを利用して成果の発表を行いたいと考えている。なお、8月ニカラグア国立自治大学、11月にはエルサルバドル国立人類学博物館で開催予定の国際的学会で成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年2月~3月に実施した現地調査、ならびにそれに関連する諸経費の清算が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年未払い分は確定しておりまた当初の予定通りの額内であるので、平成27年度の使用計画には一切関連しない。
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