1.考古学調査の成果/目的は以下である。①遺跡の範囲を確定させマウンド(遺構)配置を明らかにする。②マウンドを発掘し遺跡の性格を明らかにする。③層位的な発掘によって土器を編年し、中米諸文化との相対的な前後関係を明らかにする。 (1)第3次の調査:①は、マウンドの直径と高さ別の分布図を作成、マウンド40基を確認した。大型のマウンドが中央部に集まり、その内側に縦横40-50mの広場的空間がある。②について、発掘によってもっとも大きいマウンドは、平面四角形で2~3段のピラミッド階段状になっていたようだ。また、マウンド頂部で長軸が北の方向を指している集石とその周辺にもモノリート状のものが確認された。(2)第4次調査:このマウンドが太陽や月などの動きと結び付いた儀礼を行う祭壇であるという仮説の立証に重きをおいたが、全容の解明には至らず、この遺構の調査が今後の重要な課題である。③の目的に向けても、このマウンドの発掘をさらに進めたい。 2.ティエラブランカ村における博物館活動による成果/キラグア山系西麓の農牧場の拡大と自然環境保護、文化財保護と活用について広く啓発する博物館活動である。 (1)第1回ティエラブランカ村住民との交流会:ティエラブランカ村での住民対象とした報告会を村内の小学校で実施した。調査の成果や遺跡保護と活用に向けたプレゼンテーション、写真展を実施した。(2)第2回ティエラブランカ村住民との交流会:コミュニティ・ミュージアムづくりに向けた住民の意見を集めるワークショップを開催した。グループプレゼンの発表や回収したアンケートを見ると、村の近くにありながら遺跡の存在を知っていたのは1割以下であった。一方、博物館の役割として、子供たちへの歴史や文化の学習というところに期待する意見が多数あった。集まった住民がほとんど主婦層であったこともあるのだろう。
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